新型コロナクラスター後、感染した職員に嗅覚や味覚異常が残る人がチラホラいた。男性職員の「タバコがまずくなった」と言うのも新型コロナの影響だと思う。
ところが、統合失調症のコロナ感染者にはほとんど味覚異常が出た人がいなかった。過去ログで、デイケアで統合失調症の患者さんたちと料理を作ると、塩が足りないのか砂糖が足りないのかわからないと言うため、健康な人ほど味覚が良くないのでは?という話が出て来る。
統合失調症は嗅覚や味覚に異常をきたす疾患ではないが、既に統合失調症が発症していると、その辺りの感覚が発症前よりいくらか鈍っているようにも見える。もしかしたら、新型コロナ感染によって嗅覚及び味覚に影響を来しにくいというのはあるかもしれないと思った。
職員の嗅覚や味覚異常は徐々に回復していくようで、ほとんどの人はパーマネントな感覚喪失ではないようだった。僕はどうかというと、感染後2日くらいやや嫁さんの料理の味が変?と思ったが、確実な変化とまで言えない。3日にはいつもと変わらなかった。
普通、仕事は風邪ごときで休めない。従って僕のように体が弱いと、風邪を引きつつ無理をして仕事を続けるためこじらせることが多い。概ね風邪症状が良くなっても更に1週間、まずくすると1ヵ月は体調不良が続くのである。そのようなことで、風邪が治りきらず海外旅行に出かけざるを得なかったことが過去に3回もある。特にマウイとメルボルンは酷かった。
しかし新型コロナの場合、ルール的に大手を振って休めるため、今回ほどほとんど風邪の症状が残らない状態で復帰できたのは初めてだった。実際復帰2日目にリエゾンに行き、新患を6人診たが支障がなかった。変な話だが、今回ほど軽い風邪は初めてだったのである。これもワクチンの賜物である。同時に、風邪はいかに安静が重要か良くわかることだと思う。
患者さんたちは、ほぼ全員5回ワクチンを接種していたこともあり、事前の予測以上にカロナールを処方しなかった。カロナールが全く必要なかった人もいて院内のカロナールの在庫はあまり減らなかったのである。大規模クラスターなのに。
ところで、映画プライベートライアンの最初の戦闘場面で、ドイツ軍のマシンガンの玉が飛び交う中、全く弾丸が当たらない指揮官が出て来る。彼はチャーチル型の体型で、むしろ標的にはなりやすかったがゆっくり歩いているのに全然当たらないのである。
僕はいつかは院内でクラスターが起こると思っていて、感染爆発が起こったら、院長はあの指揮官のようにならないといけないなどと考えていた。
ところがである。感染部屋(室内の4人が感染している部屋)を順番に廻って診察したら、翌日には感染していたのであった。なんという弱さであろうか?
気合では感染は防げない(重要)。
チャーチル型で思い出したが、ウクライナのゼレンスキー大統領は、まさにチャーチル型の指導者だよね。彼は国民の士気を高め、戦争を遂行するにはふさわしいが、大破綻のリスクも秘めた指導者だと思う。実際、第2次世界大戦でもアメリカが参戦せず、イギリスが単独で戦っていたなら、たぶんナチスドイツに負けていた。
いったん新型コロナに感染してしまえば、半年間は極めて再罹患しにくいので、気持ち的に生活上のストレスが非常に少なくなる。これは実際に罹患して初めてわかったことだった。
例えば、イベントで人が密集しているところに行きやすいし、さほど感染対策をしていない食事処も行きやすい。(人気のラーメン屋など)
変な話だが、新型コロナに罹患して長年鬱積していた不安感や懸念が払拭され、気持ち的に区切りがついた感じなのである。