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Channel: kyupinの日記 気が向けば更新
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新型コロナクラスター時の入院依頼

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新型コロナのクラスターが起こると、新規入院が受けられないなどかなり医療に支障を生じる。うちの病院がクラスターになった時、最も重症患者さんが入院する閉鎖病棟だったため、通常なら入院させるべき患者さんをすぐに入院させることができなかった。

 

またこのような際に、他病院に急遽依頼することもほぼできないのである。読者の方も新患で診察を受けようとすると何週間、時に数か月待たされることがあると思う。新患の外来患者さんでさえそんな風なので、まして入院患者を急遽受けるなどとんでもない話である。

 

施設入所中の高齢者で入院の必要性がある患者さんはまだ良い。施設での療養で待つこともできるからである。

 

しかし統合失調症の興奮状態とか双極性障害の躁状態を呈している人はあまり猶予がない。実際、徐々に躁状態となった患者さんの入院を待たせたために、大変な躁状態になってしまったのである。例えば役場など公共施設の窓口で大変な迷惑をかけていたし、クラスターの影響は大きすぎると言えた。

 

躁うつ病の躁状態は軽い頃から病識がほとんどない人と、軽い時期はこれはおかしいという実感があり、入院を希望する人に分かれる。この患者さんは悪化の実感があり、当初は本人自身が入院を希望していた。

 

2週間くらい待たせたために、もはや民生委員や遠方の親戚に来てもらい、なんとか受診にまでこぎつけるような状態に悪化し、再診時は医療保護入院にせざるを得なかった。受診時には全く病識が欠如しており、強く入院を拒否していたからである。その患者さんは入院時の診察時に、とてつもない大声で、

 

入院させてくれと言う時に入院させてくれないで、いざ病院に来たら強制入院とは何事か!

 

と叫んだが、全くその通りであった。入院後は保護室に隔離しリーマスが効くのはわかっているので効き始めるまで追加でセレネース液を2~3㎖処方していた。

 

その患者さんはリーマスの僅か1か月半の中断後、躁状態になったが、なんと20年ぶりの躁転で、悪化するには早すぎると言えた。きれいな紛れがない躁状態でリーマスがよく効くタイプで、線形に改善していったのである。あれほど悪化していたのに入院3週間目には、「ようやく気持ちが落ち着いてきました、ホント助かりました」と語ったのであった。

 

自院患者をようやく入院させられるタイミングで、他の市内の精神科病院で大規模クラスターが起こり、今回のような患者さんを入院治療してもらえないか相談を受けた。そのタイミングでは当院も入院待ちの患者さんがまだ2~3名いたし、到底受けられる状況ではなかった。その状況は痛いほどわかるが。

 

このように、精神科病院ではクラスターが起こると外来だけでなく、自院患者さんの入院にも支障が生じ、医療崩壊を来すのであった。


 

 

 

 

 


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