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Channel: kyupinの日記 気が向けば更新
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いつも1年くらい通院中断し、再び診察に来院するうつ病の患者さん

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タイトルにあるように、いつも1年近く再診がなく、突然受診する人がいる。診断はうつ病だが、あまり重くないのだろう、処方はレクサプロ10mgだけである。

 

その後、徐々に体調が良くなるのか、本人は「やはり薬は飲まないとダメですね」と言う。それが毎回なのである。

 

数ヶ月から1年ほど通院して再び来なくなる。精神科治療は任意のものなので、病院から電話して、あるいは自宅を訪問し通院するように勧めたりはしない。これが統合失調症だったとしても普通はそうである。

 

極端な話として、例えば精神科病院の通院患者がとてつもない殺人事件とか起こしたりしても、「精神科病院はなぜ入院させとかないんだ!」と言う苦情は実際的ではない。

 

殺人事件とか放火事件などを起こすかもしれないなんて、通院していないのにわかるわけないじゃない!

 

もしこの患者さんが、デイケアや訪問看護を受けていれば、急に通院しなくなるという変化は悪化の可能性が高いので、本人に電話をするとか自宅訪問するなどの対応は可能である。場合によっては医療保護入院などの非任意入院させることもあり得る。

 

 

また医療観察法の入院の病歴がある人も、簡単に通院中止ができない期間がある。

 

話は戻るが、うつ病で1年近く服薬しないで済んでいるレベルであれば、全く精神科にかからない人生もあったかもしれない。最初に精神科にかからないような人は、体調が悪い時、どうしたら良いか思いつかない人もいると思うからである。

 

最初に挙げた患者さんは通院し始めると、必ず薬の効果が出て調子が良くなるとか、痛みが減ったとか話しているのに、再び通院中断してしまうのは不思議である。元々、うつ病は服薬中断すると再発することは良くある精神疾患である。

 

通院中断で病状悪化し、通院再開で改善するという体験を繰り返しても中止してしまうのは、精神科的には「病識がない」的な話だと思う。

 

しかしその患者さんの場合は少し違う。自分の病状が服薬することで良くなったとか、薬を中止したことで悪くなったと概ね正しく判断できているからである。その患者さんの語りは、病識のない統合失調症の人とはかなり異なるものだ。

 

その患者さんは、きっと「自分がどうなったら良いのか明確にイメージできていない」のだと思う。古い過去ログに以下のような記事がある。この記事は短いのでそのまま再掲する。

 

 

患者さんが自分がうつ状態と思ったり、あるいは周囲から指摘されて病院に行った時、その人は自分がどこまで良くなると考えているのだろうか?と時々、思ったりする。

風邪のように、あるいはインフルエンザのように、跡形もなく消えてしまうと思っているのだろうか?

どこまで良くなるかだが、期待値的には、薬を飲めばまあまあ社会復帰できて、普通に生活できる水準までは可能であろう。運が良ければ薬も必要でなくなる。ただ、これはうつ状態の背景疾患が重要。(今回のタイトルもうつ状態と書いているし)

初期の治療が不調だったり、数軒、病院を廻って良くならなかった時、うつ状態はこの辺りまでしか治らないと錯覚してしまうのは良くないと思う。つまりうつ状態の不調に自分が慣れてしまう感じになる。

その点で「うつ状態」は、目標とする改善のイメージが曖昧になりやすい疾患だと思う。

うつ状態を感じる脳と判断する脳が同じだからであろう。


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