今回は「105kgから62kgまで減量した人」の近況。
彼女は結婚後、全く受診しなくなったが、コンビニなどのアルバイトは続けていたので、そう悪い状態ではないのでは?と思っていた。
そのうち、1年半くらいして再診。摂食障害が完全によくなっていたわけではなく、やはり過食に悩み診察を受けることにしたようである。そうして再び服薬するようになった。
このようなパターンは、同じような例が過去ログにもあるが、
以前ほどの量は服薬できないことが多い(ルーランのテーマ参照)。
つまり長期間の服薬中断により薬に弱くなる。これは元疾患や、中断時の病状や、どのような薬を服用していたかも関係している。
彼女は例えば、トピナなら50mg以下しか服用できない。
彼女は2週間分処方するのに1ヶ月ごとしか来院しない。彼女のメインの処方はリボトリール0.5mgとトピナ25mgで、それ以外は胃腸の薬などである。眠剤は必要ない。2週間処方で1ヶ月に1度しか来ないということは、これ以下しか服薬していないことになる。
彼女は今もアルバイトをしているが、本人によればダイエットも兼ねているんだそうだ。服薬しない間に体重増加し(過食のため)、75kg以上になったが、もはや初診した当時のような体重にはならないようである。彼女の摂食障害は治ってはいない。
ある日の外来での彼女の言葉。
今は子供の水泳クラブの役員をしている。下の子が学校に行きたがらず、学校の先生が迎えにくる。校長先生も来られたのはびっくりした。
この辺りだが、2人の子供が交互に学校に行きたがらず、半分不登校状態だったが、学校の先生が迎えに来るのでなんとか行っているという話。自分だけでなく苦労が多い。
彼女の社会適応はかつてよりずっと良い。と言うより、初回入院時の当時から見ると、想像できなかったような発展である。(前の病院で絶望的なことを言われたなど)
彼女の子供たちは長い期間、本人には到底育てられないため施設に預けられていた。わりあい健康に育っていたのは、精神状態の悪かった彼女の元におらず、むしろ施設に預けられていたからである。(僕と婦長さんは同じ見解)
しかし、彼女は入院時も外来時も時々面会に行っていた。どうも本人に聞く範囲では、お互い親子の絆のようなものは保たれていたようであった。子供たちはなんと7年間も彼女の回復を待っていたのである。
そうして晴れて一緒に住めるようになった。
過去には、僕は彼女に、「○○程度に回復したら、一緒に住めるでしょう・・」と話していた。
ある日、彼女が施設に面会に行こうと計画し、施設に電話したことがある。ところが、子供たちから、
「今週は忙しい。キャンプに行くので来週にして。」
と断られたと言う。この会話は絆が保たれていたことを証明するやり取りだと思う。
「今、そこにいなくても、お母さんはいる。」という感覚である。
ある日、彼女の診察が終わった後、入院当時の彼女について外来婦長さんと話したことがある。婦長さんは初回の入院時、まだ病棟主任だったらしく、
彼女が肥満して、ベッド一杯に広がっていたのが忘れられない。
んだそうだ。この言葉に、なぜか2人で笑ってしまった。
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今は子供の水泳クラブの役員をしている
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