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メマリーの催奇形性リスク

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過去ログに、メマリーという新しいタイプのアルツハイマー型認知症薬はかなり優れており、新薬の中では評判が良いと言う記載がある。

最近、偶然、他の薬物の催奇形性について調べたことがあった。その薬は内科薬で、いつも服薬しなければならないタイプのものであるが、僕は催奇形性リスクまでは知らなかった。専門外だったからである。

患者さんの診察中、稀であるが、薬の催奇形性の話になることがある。向精神薬の催奇形性についてはこのブログの「向精神薬と妊娠、授乳」のテーマに詳しいので、興味のある人は参考にしてほしい。なお、向精神薬の催奇形性については新しい知見により変更されることもある。

その調べものをしている際、偶然、メマリーの催奇形性リスクが「B」であることを発見!

これは少し驚きであった。認知症は若年でも生じうるが、若い人では高年齢の人たちに比しアルツハイマー型の頻度が低くなる。(相対比。若年では、アルツハイマー型の比率が高齢者に比べ低いと言う意味)

また、若年で生じる場合でも、催奇形性の問題が生じることは稀だと思う。それでもなお、催奇形性リスクの記載があり、このまめさに驚いたのである。(よく考えると当たり前だが・・)

向精神薬で催奇形性リスクが「B」以上であるものは滅多にない。メマリーは、ほとんどそういう問題が生じないわりに、無駄に催奇形性リスクが低いと言えた。

などと思っていたが、よくよく考えると、メマリーだからこそ「B」なのである。たぶん。

催奇形性リスク「B」の定義を読むと、それが自然なのがわかる。妊婦に対し、どうしてもメマリーを服用させなければならない事態がほぼ生じないからである。(アリセプトは「C」)

ここに認知症に対する薬と、抗うつ剤や抗精神病薬の決定的な相違がある。

【B】
動物生殖試験では胎仔への危険性は否定されているが、人、妊婦での対照試験は実施されていないもの。あるいは、動物生殖試験で有害な作用(または出生数の低下)が証明されているが、ヒトでの妊娠期3ヵ月の対照試験では実証されていない、またその後の妊娠期間でも危険であるという証拠はないもの。


【C】
動物生殖試験では胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいは、ヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。注意が必要であるが投薬のベネフィットがリスクを上回る可能性はある(ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること)。







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