外来受診日は、そうでない日に比べて、少し調子が良いと言う患者さんがいる。
だから診察時に、最近の調子の悪さをうまく話せないという。3分の1も表現できない。その挙句、主治医から、今日は表情が良いですね、などと言われる始末。
変更してほしかった薬も変更してもらえない。
「これは、先生のオーラですよ?」と言う人がいるが、少し単純な考え方だと思う。
これらの現象は、外来受診と言うある意味、「非日常の行事?」によりテンションが上がるため、精神に好影響を与え、良くなったように見えるのである。
精神科医は、一般に「薬を変更するかどうか迷うときは変更しない」人が多い。少なくとも、僕はその方針を採る。
毎回、受診日だけ良い傾向の人は硬直した薬物治療になりやすいといえる。
一方、頻回に外来受診する人は、変化がわかりやすいという以前に、テンションが上がることが増えるので、うつ状態の人は、それだけでも治療的である。過去ログには受診が増えれば増えるほど良くなるといった記事もある。
患者さんが精神科医に会うと言う点で、謎が大きいと思うのは、リエゾンでよく会話すら十分にできない老人のリエゾンでの初診場面。
病棟ナースによると、自分が初診で見る日に限って、調子が良いことが多いらしい。いつも大声を上げて騒ぐのに、その日だけはそうではないと言うのである。だから、
○○さん、いつものようにしてよ!
とナースが老人に言うなど、笑えない事態になる。精神科医から診ると、その日に限って良いことは良くあるので、病歴や看護記録を見て悪いときの精神症状が確認できれば十分である。
老人では、レビーに限らず、精神症状の「浮動性」は良く診られることもある。
オーラの話だが、否定的な説明もかなりできるが、謎の部分もあるといったところである。
参考
精神疾患における非日常の考え方(12)
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外来受診日はテンションが上がる話
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