難聴がある人は、コミュニケーションがとりにくいこともあり、認知症があるように見える傾向がある。
難聴ないし聾唖が生来ないし子供のころからあり、しかも聾学校などで教育を受けた人は、手話も十分にできるため、比較的年配の人でも認知症には見えない。これは本人を診察した際にコミュニケーションが十分に取れることもある。
遺伝的なもので、高齢になると難聴が出現し次第に進む人がいる。このような人は、進行がゆっくりしているとは言え、1年くらい経つとかなりコミュニケーションに支障をきたすようになる。また、手話を覚えるような年齢でもない。
ずっと以前は、このような人は検査も十分にできないこともあり、理解力の悪さから、
難聴の人は、認知症に見える傾向がある。
と考えていた。実際にそう思うからである。この書き方だが、実際には認知症はあまりないがそう見えることを言っている。
しかし、人によれば、難聴の進行とともに認知症も進行している人たちも決して珍しくない。
もともと認知症は、遺伝的要因も大きく、また環境要因も関係している。
臨床的にいえば、難聴は認知症の増悪因子だと思われる。過去ログでは、介護保険のデイサービスでは、音楽も利用されるが、クラシックのような穏やかなものより、太鼓やシンバルなどを用いた、むしろ喧しいタイプのものの方が有用と記載している。
音楽療法の過去ログから
一方、音楽の賦活作用をうまく利用しているものもある。例えば、認知症のデイサービスでは、音楽を取り入れているプログラムもあるが、癒し系クラシックよりむしろシンバルや太鼓など刺激的で騒々しいものの方が治療効果が高いと言われている。
認知症の場合、簡単に言うと昼間と夜間のメリハリがなくなることが良くないのである。それが夜間不眠やせん妄、妄想などに結びつきやすい。日中、騒々しいタイプの音楽を聴かせたり、実際に歌わせることにより、日中の覚醒レベルを上げることができる。この作用が認知症の進行を抑制し、夜間も良眠しやすくなる。
このようなことから、難聴が進行すると、次第にその患者さんは音響的に閉ざされた空間にいることになり、脳内へインプットされる情報は著しく減少する。これが認知症に促進的に働くのである。
近年は、日本人は長寿の人が増え、このようなパターンも散見するようになった。
家族や介護施設、有料老人ホームの介護職の人たちができることがあるとすれば、積極的に本人に話しかけたりするなど、「働きかけの頻度」が重要だと思われる。
覚醒度を上げるような薬も発売されているが、基本的に進行を遅らせるだけなので、周囲の人の治療的介入は決して無駄な努力ではないと考えている。
参考
音楽療法
手話のボランティア
Red Hot Chili Peppers - Live at Slane Castle (僕たちの世代は、高齢になったら、こういう音楽が良いんだと思う。ほか、ベートーヴェンの第9とか)
難聴ないし聾唖が生来ないし子供のころからあり、しかも聾学校などで教育を受けた人は、手話も十分にできるため、比較的年配の人でも認知症には見えない。これは本人を診察した際にコミュニケーションが十分に取れることもある。
遺伝的なもので、高齢になると難聴が出現し次第に進む人がいる。このような人は、進行がゆっくりしているとは言え、1年くらい経つとかなりコミュニケーションに支障をきたすようになる。また、手話を覚えるような年齢でもない。
ずっと以前は、このような人は検査も十分にできないこともあり、理解力の悪さから、
難聴の人は、認知症に見える傾向がある。
と考えていた。実際にそう思うからである。この書き方だが、実際には認知症はあまりないがそう見えることを言っている。
しかし、人によれば、難聴の進行とともに認知症も進行している人たちも決して珍しくない。
もともと認知症は、遺伝的要因も大きく、また環境要因も関係している。
臨床的にいえば、難聴は認知症の増悪因子だと思われる。過去ログでは、介護保険のデイサービスでは、音楽も利用されるが、クラシックのような穏やかなものより、太鼓やシンバルなどを用いた、むしろ喧しいタイプのものの方が有用と記載している。
音楽療法の過去ログから
一方、音楽の賦活作用をうまく利用しているものもある。例えば、認知症のデイサービスでは、音楽を取り入れているプログラムもあるが、癒し系クラシックよりむしろシンバルや太鼓など刺激的で騒々しいものの方が治療効果が高いと言われている。
認知症の場合、簡単に言うと昼間と夜間のメリハリがなくなることが良くないのである。それが夜間不眠やせん妄、妄想などに結びつきやすい。日中、騒々しいタイプの音楽を聴かせたり、実際に歌わせることにより、日中の覚醒レベルを上げることができる。この作用が認知症の進行を抑制し、夜間も良眠しやすくなる。
このようなことから、難聴が進行すると、次第にその患者さんは音響的に閉ざされた空間にいることになり、脳内へインプットされる情報は著しく減少する。これが認知症に促進的に働くのである。
近年は、日本人は長寿の人が増え、このようなパターンも散見するようになった。
家族や介護施設、有料老人ホームの介護職の人たちができることがあるとすれば、積極的に本人に話しかけたりするなど、「働きかけの頻度」が重要だと思われる。
覚醒度を上げるような薬も発売されているが、基本的に進行を遅らせるだけなので、周囲の人の治療的介入は決して無駄な努力ではないと考えている。
参考
音楽療法
手話のボランティア
Red Hot Chili Peppers - Live at Slane Castle (僕たちの世代は、高齢になったら、こういう音楽が良いんだと思う。ほか、ベートーヴェンの第9とか)