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救急車で搬送されてきた高校生(2)

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救急車で搬送されてきた高校生(1)の続き

 

退院1か月目にはエビリファイ3㎎とレキソタン2㎎だけ処方していたが、あまり効いている感じはなかった。しかし、彼女によると入院前より良いという。(効かないけど良いという評価)これは、入院と退院後に「あれこれ処方を変更したこと」が良かったのではと思った。

 

 

上の記事から抜粋。

 

今から考えると、あの時の治療はいろいろ処方変更して際限なく試してみるという「ある種の治療リズム」が良かったんだと思う。サッカーで言う「単調なパス回し」とか「玉離れの良さ」などと呼ばれるものである。そういう視点で見ると、このブログの過去ログでも良くなった人の中には時々、そのような処方変更が見られている。
 

なお、上の記事の少年と今回の記事の彼女は病態はかなり違うように見えるが、近縁に位置する疾患だと思う。ただしリンクカードの少年の方が遥かに重い。

 

ラミクタールなども試みたが、あっという間に中毒疹が出現し脱落。精神科薬物療法的には、「統合失調症ではないから抗精神病薬は不適切」とはならない。薬物療法は対症療法だからである。当時、PZCやクエチアピンやリーマスなども試みたが、本人によると若干PZCは良いという。

 

いろいろな薬を試みた結果、多少でも良いと思われた薬をしばらく続けたり中止したりしていた。強迫性障害近縁なのでアナフラニールくらいが主剤になりそうであった。

 

いろいろな組み合わせで治療しているうちに受験が迫ってきていた。彼女は病状の悪い時期、あまり登校できていなかったが、一般的な学童期の不登校とは異なっている。それは明確に精神症状が重すぎたために出席できなかったからである。

 

卒業間近に、アナフラニール20㎎、クエチアピン12.5㎎、レニベース5㎎、リボトリール0.5㎎のいずれかの組み合わせの処方に落ち着いてきた。例えばアナフラニール+レニベースなどである。

 

この雑多な少量併用処方は過去ログにも多く紹介している。このようなゴチャゴチャとした処方が良いのである。この中ではレニベースを適応外処方していることが普通ではないところである。彼女の話が記事にならなかったのはレニベースを主剤の1つにしていたことも関係している。

 

僕は長いこと、なぜ彼女にレニベースを処方していたのか思い出せないでいた。レニベースを処方したからにはなんらかの理由があるはずであるが、それが思い出せないのである。つまり、今はそのような適応外処方はしていない。しない理由は、その後、多様な向精神作用を持つ薬が発売されたことも関係している。

 

ところが、この半年以内であるが、偶然、精神科治療学という精神科雑誌で持続性アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害薬)の精神科治療の記載を見た。どうやら、何らかの論文の記事を試みたようでなのである。全く意味なく処方したわけではなかった。

 

 

これらの処方で日常の恐怖感や奇妙な異常体験や行動が軽減し、皆と一緒に授業が受けられるようになった。入院するまでは登校してもやっと保健室登校だったが、彼女は朝課外から出席できるようになった。この朝課外とは1時限が始まる前の授業である。

 

僕の高校時代、この朝課外のために朝早起きせねばならず、身体の負担になるので参った。結局、途中で拒否したので僕はあまり朝課外には出席していない。当時の地方は予備校などがあまりなかったので、朝課外は多くの進学高校で公立、私立を問わず行われていた。もちろん有料である。

 

彼女は成績優秀で学内の進学クラスに在学していたが、圧倒的に登校日数が足りなかった。ところが、精神科で治療中であるという診断書を書けば、卒業できるという。そのような話は高校ではないかと思ったが、診断書で欠課が病欠扱いのようになり卒業できるというのである。この話は、ちょうど7年前の過去ログで触れている。

 

 

上の記事の冒頭で、

 

今回はいつか書く予定の記事の前置きである。長くなるのでこの部分だけ独立させた。

 

と記載している。まさに今回の一連の記事はこの時、言及した記事である。

 

(続く)


救急車で搬送されてきた高校生(3)

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救急車で搬送されてきた高校生(2)の続き。

 

卒業の年の1月の頃もまだ精神症状が残っており、朝起きてからすぐに恐怖感が出るようであった。彼女は「何か聴こえてきている」と母親は言うが、本人に聴くと「浮かんでくる」と表現する。初診後、数か月間、多少は良くなってはいるが病状がまとまっているとは言い難い状態である。

 

この記事では経過をかなり省略しており、当時のリアルな状態がうまく伝わらないと思う。処方が概ね決まるまでかなり不安定な状態が続いていた。例えば、

 

〇大声を出し唸る。独り言を言いながら唸っている。

〇家の中に恐れている場所がある。

〇自分の考えていることが怖い人に伝わるような気がする。

〇朝起きて家の中にいないので母親が外を探したら、ポストの横に立っていた。

〇言葉が押し寄せて、頭の中から抜けていかない。

〇突然、ガラスを割った。

 

このように列挙すると自我障害症状のような所見もあり、これが統合失調症でないのが不思議である。とにかく悪い時間は一時も目が離せない状態である。このような症状のため、学校に行けない日が数日続くといったことが繰り返されていた。

 

一方、向精神薬にはまるで弱かった。

〇ルーランは少量でも眠いし集中力が続かない。

〇バルプロ酸は少し目がぼやける。

〇ロゼレムは翌日のお昼まで眠さが残る。

〇カタプレスを飲むと翌朝起きられない。

〇エビリファイは量が多くなると眠くて仕方がない。

〇リーマスは20㎎まで増やすと湿疹が出る。(リーマスは1㎎から開始)

 

などである。

 

何らかの向精神薬は必要だが、ボリューム的に治療できるレベルに上げられないのである。レニベースに行きついたのはそのような理由からと思う。しかしレニベースはおそらく自我障害症状には効かず、アナフラニールなどへのオーグメンテーション的な薬である。

 

 

上の2007年の記事では、うつに対する適応外を含む薬物療法を挙げている。これはモーズレイの精神科治療のガイドライン(2001)年版を元に私見や感想を加え記載している。

 

なお、双極性障害や不安神経症などの疾患は向精神薬ではない薬も時に適応外処方されるが、統合失調症の精神症状は抗精神病薬以外の薬は非力である。つまり統合失調症を漢方薬や食事療法で治療することは無理と言わざるを得ない。

 

高校3年の年末頃には出席できる日も多くなり、センター試験も受けるという。問題は、どこの大学に進学するかであった。

 

彼女は大都市(東京、大阪、京都)の大学を第1志望にしており、今の精神症状を考えるに、主治医にとって重大な懸念と言えた。

 

これは自分の治療から離れるという意味ではなく、大都市に行くことそのものが精神症状の悪化のリスクになるからである。過去ログに以下の記事がある。

 

 

抜粋。

 

一方、カプランなどを読むと、大都市部になればなるほど(人口100万を超える都市)、精神疾患の発症率が上がるなどと書かれている。これは人口密集地は生活していくうえでストレスが増すことを示唆している。

 

本人は、精神症状と大都市に行くことの関係がうまく飲み込めてはおらず、希望を変えることはなかった。僕は近県の大学を勧めており、母親にもそう助言したうまくいかなかったのである。

 

ところが、塞翁が馬と言うべきか、第一志望には合格せず、第2志望の近県の大学に合格したのであった。

 

大学入学後、どういう風に治療するか話し合ったところ、今のまま継続して治療することになった。つまり家族が受診し処方薬を本人に送り、大学の休み期間のみ本人が受診するといった感じである。

 

大学1年の最初の5月連休に帰省し本人が受診している。大学入学後2か月目。まだ症状が残っており、時々大学を休む日があるという。たまに不安感が出るというが、僕が予想していたよりずっと良い経過だった。大学に入学したことは治療的だったかもしれないと思った。

 

彼女を2カ月ぶりに診たところ、統合失調症の印象は微塵もなかった。

 

転居して4カ月目の夏休みに再び診察している。本人の話を聴くと、時々不安感が出るが、かなり学生生活を楽しめているようであった。大学のクラブにも入っていて、友人たちと旅行もしているという。

 

当時、彼女が○○をして良いかと聴くので、禁止事項にしたことがいくつかある。例えば、登山やハングライダーなどの危険行為である。登山はかなり高い山に登る場合、服薬していることがマイナスになることがある。(血液中に薬が溶け込んでいるわけで健康な人と同じにならない)

 

実際、僕の患者さんでペルーの山に登った際に、高山病になりそのまま亡くなった中年女性がいる。ダイアモックスなどの抗てんかん薬が高山病の予防に使われることがある。

 

 

彼女が希望したスポーツは、危険度が極めて高いものではなかったが、一応リスクがあるので禁じたのである。彼女は素直に僕の助言を聴いてくれたのであった。

 

続く。

 

参考

古い記事。今回記事の高校生はこんな風な感じでもない。以下の患者さんの方が遥かに重い。

 

 

 

救急車で搬送されてきた高校生(4)

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救急車で搬送されてきた高校生(3)の続き。

 

大学1年生の夏を過ぎると更に症状が軽くなった。「たまに不安感が出る」くらいらしい。本人は薬は今の半分で良いと言うため、アナフラニール10㎎、レニベース2.5㎎程度の処方になった。

 

今回の記事だが、患者さんの名前さえ思い出せないでいた。ある日、僕は外来婦長(師長)に「いつだったか、外来で診ていた進学校に通っていた女子高生の名前覚えていませんか?」聴いたのである。

 

すると「あのとても綺麗になられたお嬢さんでしょう?」と言い、彼女はカルテ庫に探しに行き、まさにその人のカルテを持ってきてくれたのである。凄い記憶力だと思う。

 

僕は「レニベースを処方した女性患者さん」ぐらいしか記憶に残っていなかった。これではカルテを探しようがない。当時の外来婦長(師長)の話は過去ログにもある。

 

 

大学1年の年末頃には、恐怖感などほぼ消退し、健康な大学生とほぼ差がないほどに回復した。相違は服薬していることだけだった。2年生になると複数のサークル活動に加えアルバイトもしているという。

 

アルバイトの内容を聴くと、コンビニやマクドナルドのドライブスルーの受付をしているというので、かなりレベルが高いと思った。このアルバイトの話は最近の記事にもある。

 

 

このような仕事が支障なくできているため、彼女はASDやADHDっぽくないと言える。(交友関係の人さやアルバイトの内容)

 

2年生の中頃から、ほとんど薬を服薬しなくなったようで、半年くらい受診がないこともあった。従ってカルテの記事数が少ない。たまに来たら詳細に症状を聴くと言った感じである。当時、自動車学校で免許を取っているので、彼女は服薬していることを気にしたのかもしれない。

 

彼女は試験は無難に合格し、高校時代の不登校だった時期とは様変わりしていた。3年生の終わり頃、友人と海外旅行もしている。

 

たまに数か月ごとの再診は、もう挨拶くらいになっていたが、いつも薬だけは持って帰っていたので、お守り代わりに飲んでいた感じだと思う。

 

4年生時の就職活動は大都市のIT企業にしたようだが、前回のような懸念はあるが、おそらく受け入られないだろうし、既にあまり服薬の意味も必要性もないくらいなので強く止めはしなかった。

 

就職で転居した後は、たまに挨拶に来てくださいといった感じである。

 

この経過を診ていくと、タイトルの「NO FATE」のように、「運命なんて決まっていない」と言うのが良くわかる。

 

この「NO FATE」は、ターミネーター2という映画で、核戦争の悪夢を見たサラ・コナーがテーブルにナイフで書きこんだ映像である。サラは核戦争の未来を変えるために、サイバーダイン社に特攻する決意の直前に書き込んだのである。

 

余談だが、ターミネーター2はアーノルド・シュワルツェネッガーが演じるT‐800と悪役のT-1000の戦いが凄かった。特にT-1000の性能(液体金属のターミネーター)。この映画では、アクション場面も素晴らしいが、アメリカの警察病院(精神科病院)の中の様子も見ることができ、個人的にかなり好きな映画である。

 

今回の一連の記事は、久しぶりだったこともあり、波乱万丈の内容かも?と思った人もいたかもしれない。皆が期待したよりずっと普通の平凡な経過だと思う。

 

しかし重要なことを1つ。

操作的診断法は結局はアルゴリズム的な診断法であり、極端なことを言えば、本人を診なくても、このような文章だけでほぼ診断が可能である。しかしそれは必ずしも正しいとは限らないのである。

 

精神科医が患者さんを診察する時、ノンバーバルな精神所見を把握、理解し、治療の方針を立てることが重要だと思う。

 

つまり本人をまず仔細に診ることである。

 

この一連の記事はこれで終わりだが、いつかスピンオフ的な記事をアップするかもしれない。

 

 

 

 

 

 

薄い灰色のネコ

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薄い灰色のノラネコを見た。少しキジ模様が入っている。左耳がカットされておりメスネコだと思う。灰色はネコだとブルーとも言う。ロシアンブルーのように。

 

 

やはりメスネコはオスネコより少し小柄なことが多い。そういう意味では三毛猫は少し小さい。

 

 

ノラネコにしては綺麗なネコだと思う。妙に慣れているし。

 

ロゼレムの性機能障害について

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もともと、メラトニンには性腺抑制作用があり、メラトニン値が上昇すると生殖腺の発達や機能が抑制される。従って長期連用では妊娠しにくくなる(妊孕性が低下する)。

 

男性では、精子運動機能低下、長期連用でのアロマターゼ活性の抑制も診られる。女性では卵巣機能を低下させる可能性があり避妊薬として試験されていたが、難しかったようである、また小児用のメラトベル顆粒(メラトニン受容体作動性入眠改善剤)ではプロラクチン値増加の注意がある。以下はメラトベルの添付文書である。

 

 

一般にロゼレムには血中のコルチゾールおよびテストステロンの濃度を低下させプロラクチン値を上昇させることがわかっており、これらのことから性機能に対して抑制的である。女性患者では時に無月経、乳汁漏出、性欲減退などがみられることがある。以下はロゼレムの添付文書から。

 

 

これらのことから、ロゼレムは高齢者向けの眠剤と言って良い。実際、ロゼレムは高齢者に処方されることが多いので実臨床に沿っている。

 

リエゾンなどで時に看護師に対する性的逸脱行為をなんとかしてほしいと言った依頼が来る。たいてい高齢の男性で、看護師の胸を触ったりするなどである。

 

この対応が結構難しい。一般的にはプロラクチン値を上げる薬が良いのでドグマチール(スルピリド)やリスパダール(リスペリドン)などを処方されることが多い。プロラクチン値上昇は性機能を抑制しそうに思われるからである。ドグマチールよりはリスパダールの方がより鎮静的なので性的逸脱行動へ直接の抑制効果もあると思われる。

 

しかしながら、高齢者にリスパダールを続けることは弊害も多い。中長期的にはEPSが出現し誤嚥性肺炎などを起こしかねないからである。

 

 

上のリンクカードの記事のようにロゼレムは高齢者の行動を穏やかにする傾向があるし、今回の記事の内容からすれば、性的逸脱行動がある高齢者にレンドルミンやマイスリーが処方されている時、それらをロゼレムに変更することはいくらか治療的ではないかと思われる。

 

参考

 

 

 

説明がつかない規則への反発心

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昔テレビで、校則守らないと言う理由で高校の担任にさんざん叱責され、退学した高校生のドラマが放映された。このドラマは実話だったと言う。今の中学校や高校の校則はかなり緩やかになっているが、昔は意味不明で不条理な校則が多く存在していた。

 

例えば、僕の中学校は男子生徒は丸坊主必須で全員が短く刈り上げられていた。丸坊主の理由を教師に尋ねた友人によれば、非行の防止だったらしい。つまり周囲からすぐに中学生とわかるようにマークしておくのである。またクラブ活動を原則全員参加せねばならない理由も同様に非行防止だったようである。

 

お前らは、暇だとロクなことせん。

 

などと、授業中に担任が言っていた。当時のゲーセンはまだテレビゲームがなく、メダルゲームが主だった。中学生がゲーセンに行くのはもちろん補導案件である。

 

丸坊主について医学的なことを言えば、自転車の転倒や車にはねられたなどの事故では、丸坊主だと頭部へのダメージが増すのでマイナスの方がむしろ大きい。例えば柔道などの格闘技やラグビーなど競技中の頭部打撲もそうである。

 

そもそも人類の進化的に頭に毛を携えたのは、頭部を守ると言う生物学的意味も大いにありそうである。

 

僕は中学生の時に親父の実家に帰省した際、大阪や東京から帰省していた都会っ子から「まぶしい~」と言われてからかわれた。これは都市部では中学生は丸坊主などの校則など既に廃れていたからである。

 

最初に挙げたドラマでは、その男子高校生は自分の好みの服装や頭髪で登校していたが、校則違反なので教師からさんざん注意された。まさに教師からイジメを受けていたと言って良い。

 

その結果、登校することに嫌気がさし退学を決断する。彼はその後、通信制だったか大検だったか忘れたが、大学受験資格を取得し現役で東京大学に合格を果たすのである。

 

そして、かつて彼を退学に追いやった教師が自宅にやって来て、彼に謝罪したと言う結末だった。

 

日本では周囲にできるだけ合わせるという文化がある。現在の日本人のマスク使用率やワクチン接種率の高さはこの文化から来るところが大きい。アメリカなどは様々な人種、宗教が混在しており、日本よりはるかにこのような圧力は小さいと思う。

 

今回のタイトルの「説明がつかない規則への反発心」だが、この精神症状は、ASDの人に良く診られる所見だと思う。これはASD的な精神所見なのである。

 

あのドラマの当時、そこまで校則に反発していたのは全校生徒で彼だけだった。知能が高いから反発したわけではなく、校則を守らないといけない説明がなかったか、あったとしても説明になっていなかったから反発したのであろう。ここでは、彼がASDだった指摘しているわけではない。その思考や行動がASD的だったと言っているのである。

 

この精神症状の傾向は親は常に注意すべきだといつも思う。例えば、母親が子供に野菜サラダを食べるように必ず言うなどである。子供は、後で食べようと思っているのに、毎回食べる前に注意される。この時の苛立ちは大きい。これはタイトルと少し違うように見えるが、同じようなものだ。

 

子供はこれからしようとしていることを、親から先に言われて注意されることが嫌いである。

 

この母親の毎日必ず同じ注意をすると言う強迫的な行動も実はASD的な所見なのである。

 

しばしばASD的な母親は「食べてはいけない」調味料、食材、料理などに注意している。かくあるべきということに縛られているのである。例えば、テレビゲームで遊んだ後はきちんと片付けるように毎回強注意することもそうである。完璧主義的な和まない雰囲気が常に存在している。

 

これらは「躾」と呼ばれるものだが、子供から見ると、そもそも躾は説明がつかないか、根拠が薄く見えるものが多い。この「説明がつかない」ことにASDの子供は反発しやすい。

 

ASDの子供が上手く躾けられないなどと言われるのは、この特性が影響している。少なくとも、子供はそうしないとダメなどと否応なしに言うのではなく、本人が納得するような流れで言う方が良いように思う。

 

このような不条理に見える注意の積み重ねは、将来、子供の毒親データベースのピースになっていくのであろう。

 

ある不登校だった子供の診察中、「できればこうした方が良い」と言う躾的なものを、今回のドラマの話に言及して説明したことがある。しかしその子はその後、改めることはなかった。しかし、そのために治療関係が損なわれることもなかった。やはり親と主治医は違うのである。

 

当時、その子との治療関係は良好で、不登校も改善傾向だったのもあり、少なくとも母親よりは信頼されていた。僕が言って改まらないなら、こりゃ無理だわと思ったのである。

 

不登校の子は治療をしていても、授業は出ないが保健室だとか特定の学科の時間だけ登校するとか、塾には行き始めるなどの中途半端なレベルに留まることも多い。むしろその方が多い印象である。

 

それでも全くの不登校より、学力が上がり進学しやすくなるため、家族は医師に感謝することが多い。

 

上に記載した子供は、夜間に警察官に同伴されて初診したほど、暴力や興奮が酷かった。ずっと県内あるいは市内の学校指定の児童思春期のクリニックに通っていたが、改善することはなかった。

 

何度も警察が介入するような子供は、まず薬物療法から始めないと埒があかないと思う。今はその子は特殊な薬物療法で経過が良い。

 

一方、興奮する子供に須くリスパダールを処方するのは無能だと思う。今の子供はリスパダールを服薬できるレベルの忍容性を持たないことも多いからである。

 

その子供はほとんど抗精神病薬は使ったことがない。短期間、ロナセンの1mgを処方してすぐにやめた程度である。リスパダールがこのような事例に処方されるのは適応があるからである。以下はリスパダールの添付文書から。

 

 

子供の薬物療法は想像力が必要で、常に応用問題だと思う。精神科病院は平均してクリニックより重い事例が受診する傾向があるが、常識に縛られず、その子供の忍容性や症状に応じた治療が必要である。

 

また診察時に、その子供の思考の特性を把握しつつ、注意深い言葉の選択も必要だと思う。

 

 

 

 

 

 

ジスバルの最初の印象

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数か月前に初めてジスバルを処方する機会があった。今日の記事はその時の印象である。

 

 

ジスバルは薬価が高いこともあり、相当にフィットしていないと処方し辛い。また効果が高くないと処方する甲斐がないと思う。

 
その患者さんは、元々精神疾患がなかったが、危うく死亡しかねない全身性疾患を契機に精神症状が悪化し、セロクエル服薬のためにジスキネジアを生じていた(副作用)。
 
ジスキネジアは重度のものと軽度のものがあるが、車椅子で初診されており重いレベルであった。遅発性ジスキネジアについては、Wikipediaを参照してほしい。
 

 

サイトから抜粋。

遅発性ジスキネジアは、反復的な、不随意の、目的のない動作に特徴づけられる。不随意運動のこれらの種類の例をいくつか挙げる。
 

顔を歪める
舌を突き出す
舌鼓を打つ
唇をすぼませたり
眼の瞬きが早い


手足、指、胴体の早く不随意な運動も生じる可能性がある。いくつかの症例では、脚部に歩行が困難または不可能になるほどの影響がある。

 

一般に遅発性ジスキネジアは、かなり抗精神病薬を長期連用しないと生じないことが多い。しかし、このケースは比較的短期間に生じており、しかも原因薬がジスキネジアが生じにくいとされているセロクエル(クエチアピン)であった。このような事態はおそらく主治医も予想もしなかっただろうと思う。

 

このように短期間の服薬でここまで悪化してしまう人は、遺伝的な脆弱性や脳のダメージの既往(頭部外傷や脳血管障害など)も関与していると思われる。

 

軽い遅発性ジスキネジアであれば、D2レセプターに親和性がないか極めて低い薬に変更すれば次第に改善することが多い。例えばクロザピンなどである。その視点ではセロクエルでも比較的安全性が高いと思われるが、そのセロクエルで生じているのである。

 

このセロクエルと言うのが曲者で、臨床医の体感でセロクエルを処方したくなるのは錐体外路系の副作用が起こりかねないと思える人たちである。つまり感覚的に副作用が出現しそうに思うからこそセロクエルを処方する。

 

その結果、セロクエルでかえって稀な錐体外路系副作用に遭遇する印象である。実際、僕の患者さんで僅かなセロクエルで横紋筋融解症が生じたことがある。

 

今回の人はまさにそのケースだったと言える。

 

ジスバルは処方後、4日目くらいから効果が出始め、最初に首から下(つまり四肢と体幹)のジスキネジアが目に見えて軽快し始めた。正直、ジスバルの効果に僕はびっくりしたのである。

 

一方、顔面のジスキネジアはやや軽減しているが症状が残ってしまう印象であった。それでも舌を突き出すなどの大きな症状が軽減してきているので、増量すれば更に良くなるのでは?と思った。この人だけかもしれないが、ジスバルは顔面の症状には体幹や四肢に比し効果が弱いのである。

 

そこで、ジズバルを1日2カプセルまで増量すると顔面部分のジスキネジアが多少残ったものの、それ以外の症状がほとんど消退たため治療終了としている。(40日くらいで退院および転院)。

 

長期的にはジズバルは1カプセルに減らしたり、もしかしたら中止も可能かもしれないが、その後の状態を知らないので不明である。

 

高齢の女性の顔面の軽度のジスキネジアは、昔セレネースを長期服薬している人に生じることがあった。稀と言うほど珍しいものではなかった。このレベルの人は可能ならセレネースをエビリファイ(アリピプラゾール)くらいに変更し長期に治療しているとほとんど消退することが多い。

 

アリピプラゾールは完全にD2を遮断しない非定型抗精神病薬であり、本来、安全性が高いが、それでもこのタイプの副作用が生じないわけではない。その理由はD2に関与する抗精神病薬だからである。

 

遺伝的というべきか体質的に漸弱性のある人は、リーマスどころかデパケンでさえ遅発性ジスキネジアを生じうる。

 

今回治療した患者さんは、ジズバルで多少は症状が残っているが、本人が全く苦にならないレベルまで回復していた。もしジズバルがなかったら、DBS造設するなどの外科的治療しかなかったと思う。

 

精神科に限らないが、医療は日々進歩しているので、遅く生まれれば生まれるほど、優れた治療を受けられると言えると思う。

 

 

木に登りこちらを見るネコ

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夕方、木に登っているノラネコ発見。

 

 

この写真だと、高さがわからないと思うが、ネコの高さは僕の身長の1.5倍くらい。飛び上がらないと手が届かない。

 

 

正面を向いてくれた。これはハチワレさんですね。

左耳がカットされておりメスということになる。

 

 

けっこう綺麗なノラネコだと思う。


コロナ環境は人と人の交流が希薄になる

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もう1か月で2023年である。コロナウィルスの出現からもう3年になる。

 

僕は2020年の2月に結婚式に出席したが、その日は県外からも多くの出席者がいて、まだ新型コロナウィルスの危機感がなかった。まだ参加者はマスクをしていなかったが、帰りにマスクを買いにコンビニに寄ると全て売り切れで買うことができなかった。

 

ここ3年、僕と他の人との交流が激減し、自宅と病院を往復する生活が続いている。つまり、極めて単調な日々なのである。

 

最近、努めて旅行をするようになった。県内ないし近県までは良く行くが、空港を利用することはないので沖縄なんてとんでもない話である。旅行も主に温泉で、できるだけ個室で食事ができる旅館を選んでいる。

 

朝食もバイキングは選ばないので、ほとんど人との接触がない。旅行に行ってもやはり人との交流がないのである。

 

このような単調な生活になってしまうと、日々インスパイアされることも少なく、ブログの更新が減少した理由の1つなんだろうと思う。

 

つまり、日々ほとんど脳に刺激がない生活である。僕はそうだけど、他の人はどうなんだろうか?と時々思うが、年代によっても違うよね。

 

今、ワールドカップサッカーは開催中だが、いつもより国内の熱狂と言うか、盛り上がりが欠けている。皆、コロナで疲れ切っているのではなかろうかと思う。

 

 

これは日本vsドイツ戦の浅野選手のスーパーゴール。これは同じ場所からシュートしても10本のうち1~2本しか入らないような難しいゴールだった。次のコスタリカ戦で負けたのは残念。

 

身の回りのことで大きな変化は、年間のカードの支払いが激減していること。人と人の交流が減ると、お金もあまり使わないのである。

 

特に遠方に行かなくなると、大きな買い物をしなくなるものだ。カード支払いは、ここ数か月に限れば旅行の分、少しだけ増えた。

 

山奥や海岸沿いの温泉旅館に行っても、宿泊代以外はほとんど出費がないので、東京や海外に行かない限りそこまで大きな出費にならない。

 

この3年、大きな買い物と言えば嫁さんの車があるが、車はカードでは買わない。それ以外を探すとグランドセイコーの腕時計くらいである。

 

そういえば、福岡に旅行した際に、サムソナイトのスーツケースが壊れてしまった。海外用のバカでかいサイズである。過去に一度修理したので、もう一度修理する気が起こらず、購入した大丸まで持って行き、新品を買うことにした。少なくとも、海外で壊れなくて良かったと思った。福岡市で壊れるのは、壊れる場所としては最高である。

 

ところが、大丸にはサムソナイトを扱うショップがなくなっていたのである。今まで大丸でサムソナイトを4つくらい購入していて、ショップがなくなるなんて思いもしなかった。

 

これも新型コロナで旅行が激減し、スーツケースの売り上げが下がっていたからだと思う。新型コロナの影響はすぐにわかるものと、すぐに気付かないものまで広く影響が及んでいる。

 

このように考えていくと、僕1人だけみても消費が激減しているので、日本経済には良いはずはない。

 

それにしても、新型コロナの環境がいつまで続くのだろか?と思う。

 

12月2日午前4時から、日本vsスペインの最終戦がある。

 

 

不安障害と微量レキサルティ

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今日の記事は不安障害に対し微量レキサルティを処方した時のメリットやデメリットについて。

 

レキサルティはエビリファイに比べ不安感に効果が大きい薬理特性を持つ。従って「不安障害と微量エビリファイ」より「不安障害と微量レキサルティ」の方がより治療的である。なお、微量のレキサルティとは0.25㎎か多くても0.5㎎までの用量である。

 

なぜ適応外のレキサルティなのかと言うと、一般的な不安障害に対する向精神薬は、色々とデメリットも大きいからである。例えばソラナックス、ワイパックス、レキソタン、デパス、メイラックスなどの定番と言えるベンゾジアゼピン系抗不安薬は、慣れればそうでもないが多少は集中力に影響が出るし、一部の人は離脱も出るというデメリットがある。また人にもよるが最高量まで服用量が増えてしまう人もいる。

 

ところが、レキサルティは離脱があったという話を聴かない。レキサルティは半減期が長いこともあるが、パーシャルアゴニスト系の薬なのでそのような欠点がないのだろうと思う。つまり泡切れが良い薬である。

 

またレキサルティは統合失調症の薬なので、徐々に増量せねばならないという経過にもならない。レキサルティを増やした場合、振る舞いが変わり抗不安作用は主作用に紛れてしまう。

 

不安障害にはレクサプロなどのSSRIもしばしば処方される。一般的には不安障害にはベンゾジアゼピンよりレクサプロの方がより正統派である。しかし、SSRIは日本人は全員が服用することはできないし、やや感覚に違和感を感じるなど不自然さを意識する患者さんも多い。それに比べ、レキサルティは圧倒的に自然な効き方である。

 

レキサルティを抗不安作用として処方する場合、どうしても専門の抗不安薬ではないので効果が不足する。(これがデメリット)

 

レキサルティは多少は抗うつ効果もあるので、そのあたりもカバーするが、微量のレキサルティで効かない人は、SSRIやベンゾジアゼピン(あるいはセディールやドグマチール)を服用する他ないと思う。

 

微量のレキサルティは、不安障害があるが、SSRIやベンゾジアゼピンを使うまではない人には有用な薬だと思う。

 

過去ログにはソラナックスやワイパックスをベタベタに処方したくないといった記事がある。

 

 

預言書の謎

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最初に書いておくが、今回はオカルトのテーマである。このブログでは「オカルト」というテーマがあり、なんと過去に99個も記事をアップしている。今回は100回記念の記事。

 

最近は面白くない記事が多いが、ずっと以前はどのテーマも面白いと言うアメブロメールを頂いたものだ。特にオカルトが面白いと言う読者さんもいた。おそらく霊感について詳しく記載した最初の記事は「患者さんの死と霊感」だったと思う。

 

 

この記事の中で最も霊感が強かったのは30歳代の前半と記載している。これは2008年の記事だが、確かに当時よりかなり霊感体験が少なくなっている。もしかしたら、もう霊感的感覚はないのかもと思っていたが、今なお、たまに不思議な霊感的感覚が残っていることに気付いた。

 

自分の霊感は家族に起こる悪い事件の直前か同時に起こることが多い。例えば母親が大怪我をした瞬間はすぐに感じ取ることができたが、母親に起こったとは気付かなかった。それ以外では患者さんについての悪い事件である。それ以外では日本国内の大事件がある。

 

このブログは2006年7月から始まり現在16年目である。この16年間で日本国民全員を震撼させた極めて悪い事件は2つしかない。

 

一般に霊感は悪い兆しを感じ取ることが多い。例えば、戦争、災害、暗殺事件などである。一方、良いことはほとんどと言って良いほどない。これは過去の有名な預言書もそうである。例えばノストラダムスの大予言など。

 

日本の2つの悪い事件とは、1つは2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震、もう1つは2022年7月8日の安倍首相銃撃事件である。ところがこの2つの事件の少し前にこれを暗示する記事をアップしている。

 

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震

 

 

2011年3月1日の記事で阪神淡路大震災について言及している。地震の10日前である。この記事では特に「これから地震が起こる」とは記載していないことに注意。

 

当時、この記事と東北地方太平洋沖地震の関係を指摘するコメントがあった。

 

2022年7月8日の安倍首相銃撃事件

 

 

これは2022年6月30日の記事で安倍首相銃撃事件の8日前である。この記事は山口市の湯田温泉にある松田屋ホテルの池の鯉の話をアップしている。そもそも山口市のホテル内にあるこのピストル写真をアップする理由がない。この写真は非常に奇妙なものだと思う。僕のブログの世界観のようなものにも整合性がない。

 

また何かを暗示しているとして、現実に事件が起こるとは言っていないことに注意してほしい。

 

結局、これらのことは、世界的に有名な預言書と全く同じパターンであることを指摘したい。

 

つまり、預言書はこれからどのようなことが起こるかまでは指摘できないのである。1999年に人類滅亡について大騒ぎしたノストラダムスの予言も当たりはしなかった。そもそもノストラダムスの予言書は過去のあの事件はあの詩が暗示しているなどと後講釈はできても、これから起こる未来のことは1度も当たってはいない。

 

きっと、預言書はそういう性質のものなのであろう。

 

真のインチキとまでは言えないのかもだが、何らかの兆しを感じ取っても、具体的には何が起こるかまで予見できないのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

精神科医の年齢について

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スポーツ選手は若い頃に成績はピークを打ち、その後なだらかに低下していく。これは運動能力は加齢により少しずつ低下するからである。今回のワールドカップでも、ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウド(37歳)は全盛期のカリスマ性はなかった。

 

医師でも視力の衰えや運動神経が影響する科では、年齢とともにパフォーマンスは低下する。どの年齢まで若い頃と遜色ない技術が維持できるかは経歴や個人差も関係するであろう。

 

精神科医の診療能力は比較的高齢になるまで維持できそうに見える科である。視力や運動神経はあまり関係がないからである。

 

しかし患者さんから見れば、初診した際に高齢の精神科医が出てきたら、ちょっと不安になるのではないかと思われる。これは僕の想像なのだが。

 

つまり、この医師は最新の医療レベルまでアップデートできていないのでは?と言う不安である。

 

実際、全てではないが高齢の精神科医は処方だけ見ても、古臭いまま止まっていることがあり、その不安はその通りだと思う。

 

僕くらいの世代でも、前時代的な奇妙な処方のまま留まっている人がいる。それは指定医かどうかはあまり関係がない。僕は無償で指定医をくれた世代ではなく、レポート提出が必要だった。なお、指定医番号は1万未満である。

 

精神科は対象とする疾病数が少ないこともあるのか、新しい知識を吸収していかなくても、なんとなく診療できてしまうのがよろしくない。

 

例えば、内科の消化管の内視鏡やエコーはかなりトレーニングを受け、診断に自信が持てないと開業するなんて思いもよらないだろう。この自信を持てる水準が精神科では曖昧になっている。

 

精神科業界は複雑で、精神科医局などで充分な教育を受けずに開業してしまう若い人もいて、このような若い医師は精神科診療能力が乏しい。だから、若い医師だから良いとも言えない。

 

医師は高齢になり心の柔軟性が衰えると、プライドも邪魔して独りよがりになりやすい。以下の一連のツィートは精神科医ではないがそのことを上手く説明しておりとても興味深い。

 

 

 

 

結局、高齢になっても昔と同じような処方ばかりしている精神科医は、知識のアップデートを怠っていると言えると思う。この辺りの考え方や対策は以下の記事に詳しい。

 

 

抜粋

少なくとも診療に疑問があるなら、セカンドオピニオン的に他の精神科クリニックに相談してみるのも一考だと思う。他の精神科に行くことで、今の精神科の悪い点や、逆に良い点もわかると思う。日本の医療制度の良い点の1つは、どこの病院に行くか自分で決められることだと思う。

灰色ネコとぶちがカリカリを食べている動画

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ネコおばさんからカリカリを貰い食べている動画。よくノラネコにエサをやるところを見るが、ノラネコはロリキートのように喧嘩しないで食べている。行儀が良い。

 

元々ネコは狩猟動物のためか、犬のようにエサを腹一杯食べることはなく、残すこともよくある。エサをやってもプイと言った感じで興味を示さずどこかに行ってしまうこともある。狩猟動物とは、ネコがそのつもりなら、すぐに餌を自分で獲れると言う意味である。地域猫には難しいかもだが。

 

大抵、エサをもらうと少し臭いを嗅いでから食べ始める。警戒心はある様子。

 

動画では灰色のネコではない他のネコが鳴いている。この動画では2匹しか出てこないが、ぶちではないネコだったかもしれない。

 

ノラネコはやたらニャーニャー鳴くネコと、全く鳴かないネコがいる。

 

参考

 

 

入院中、IT機器が持てない人々

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この記事のIT機器は個人用の情報機器のことを指している。主にスマホやパソコンなどである。

 

ずっと以前、まだスマホが一般的ではなかった頃、精神科入院時はIT機器は禁止のことが多かった。しかし時代は変わり、今は時間は制限されるが、入院時にも許可されることが多くなっていると思う。もちろん許可されるかどうかは精神症状の程度にもよる。

 

ほとんどの人はIT機器で精神症状が悪化することはないが、時にIT機器を持つことで精神症状が悪化する人がいる。しばしば統合失調症にみられるが、統合失調症全員ではないし、稀に統合失調症以外でもみられる。

 

スマホは時々OSやアプリがアップデートされるが、「電波的なものが外部から侵入しスマホの仕様を変える」ことが、自我障害症状と共鳴するらしい。

 

例えば最近のiPhoneのOSバージョンアップでは、「スマホにウィルスが入り、スマホの時間表示の太さが変わった」などと解釈されやすい。不思議なことは、ここでその説明をしても頑として考えが変わらないこと。

 

一部の統合失調症の人は、スマホなどのIT機器をいっさい使わないことで、心の安寧が保たれるのである。

 

スマホにウィルスが入り「自分は盗聴されている」とか「監視されている」などの妄想は、かつて「盗聴器が仕掛けてある」と言う定番の妄想の進化型のようにも見える。時代が変われば妄想内容も変わる。実際、盗聴器の単一の妄想は激減している。

 

盗聴器はいつ頃発明されたか知らないが、盗聴器がなかった中世の統合失調症の患者さんは、盗聴器の妄想はなかったはずである。電磁波も統合失調症と妄想性障害の妄想の新しいワードだと思う。

 

盗聴器は、もしかしたら患者さんの内面の何らかの不安や妄想的気付きを説明しうる性質もあったかもしれない。それがIT機器の進歩、普及により、より身近なものになり時に言及されるようになったのであろう。

 

逆に言えば、大昔は内面の異常体験を意味付けできるようなIT機器がなかったので、自分の奇妙な体験が宙に浮き、落とし所などなかった。

 

そのような理由で、異常体験が時に宇宙にまで飛び、より原始的な精神症状(例えば緊張病症候群)を呈さざるを得なかったのかもしれないと思う。

 

また、かつてはこのタイプの方がむしろ多かったのだが、スマホを持つことで、他人に迷惑行為をする人もいる。ある患者さんは何もゆかりのない大学教授に「もしもし、こちら○○ですが教授をお願いします」と頻回に電話をかけた。当初は教授の奥さんが繋いでいたようだが、遂に家族からの苦情が病院に来て、本人にはスマホを持たせられなくなった。話す内容も全く意味不明だからである。

 

また必ず、朝の一定の時間に無言電話をかける統合失調症の事例もある。しかもそのかける相手は本人とは全く関係がないのである。本人が、どのようにして相手を知るようになったのかも謎である。また電話をかける理由も不明である。しかも、無言電話をかける相手の人が多数いるのである(そのために本人は午前中は大変な作業)。

 

おそらく幻覚妄想に由来すると思われるが、このような人もスマホを持たせられない。

 

IT機器はそのものが精神症状を悪化させることもあるし、IT機器のために異常行動の範囲が広がるというケースもある。

 

これらの人のいずれも今の精神科病院の看護体制ではスマホは許可しにくいのである。

 

 

ビペリデンがなくなってしまうという衝撃

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ビペリデン(先発品:アキネトン)は主に抗精神病薬の副作用止めとして併用処方されてきた歴史がある。しかし、ここ20年くらいで非定型抗精神病薬が主流になり、あまり処方されなくなった向精神薬の1つだと思う。ビペリデンの詳細は以下の過去ログを参照してほしい。

 

 

ここ2年くらいの製薬会社の不祥事を契機に、各製薬会社はジェネリックを安定して供給できなくなっている。これは過去ログに数回記事をアップしている。それに加え、原薬を製造する製薬会社は新型コロナの治療薬を優先したいようで、これまで供給に問題がなかった薬まで不足する事態になった。

 

 

今回、抗精神病薬の副作用止めの定番、ビペリデンが来年1~2月頃から供給できなくなると言われている。しかも原薬がなくなるので、製造する全ての製薬会社で供給できない事態になった。しかも1年以上、再発売の目途が立たないらしい。

 

ビペリデンは今は非常に使われているわけではなく、おそらく外来患者さんで服薬している人はかなり少ないと思う。外来でビペリデンを処方されているケースは、忍容性が低く副作用のため仕方なく併用処方されている人である。

 

僕は入院患者さんでは定型抗精神病薬を服用しているか、非定型抗精神病薬の副作用のためにやむなく処方している人に限られる。今調べると計5名ほどいたが、入院患者さんは時に40年くらい入院継続している人もいるし、重い人が多いからである。

 

かつて、ビペリデンは定番のように抗精神病薬に併用され、しかも量が多かった。3~6錠も処方されていたのである。

 

ここ20年くらいの精神科薬物療法の進歩は、ビペリデンのような抗パ剤の処方量の激減でも示されている。上記5名では2㎎が1名だけで他の人は1㎎である。(ビペリデンは1錠が1㎎)

 

もしこのブログを見ている人で、3㎎以上のビペリデンを処方されている人がいたとしたら、それは好ましくない処方と言える。古臭い処方だからである。何かしら対応の仕方があることが多い。

 

上の最初の引用記事から抜粋。

 

アキネトンは本来抗精神病薬の副作用止めであったが、次第にこの副作用止めの副作用に注目されるようになった。

アキネトン、アーテンなどの副作用
① 尿閉
② 便秘、麻痺性イレウス
③ 抗コリン性の精神症状
(せん妄、妄想、急性錯乱など)


その他、高揚感、多幸感による依存性や認知面の副作用もみられる。

 

入院患者さんの高齢化に伴い、ビペリデンの副作用のために総合的にマイナスになる患者さんが多くなったのである。ビペリデンの代替薬は、セドリーナなどになりそうだが、しばらくは混乱があるかもしれない。

 

ビペリデンがなくなってしまうのは、新型コロナ流行に伴う違った形の医療崩壊だと思う。


筆ぐるめ30インストール顛末記

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僕は長いこと筆ぐるめの旧バージョンを使っていた。なんと「筆ぐるめ20」で使用パソコンもWindows7である。今はほぼWindows10を使っているが、事情がありWindows7のノート2台もたまに使っている。

 

Windows7を使わざるを得ない事情の1つは筆ぐるめ20を使うため。もう1つは暗号通貨のハードウェアウォレットのシード(ニーモニック)用である。シード用パソコンは決してWi-Fiに接続しないのでWindows7で問題ない。Panasonicのレッツノートはワイヤレスの物理ボタンが付いているのが良い。うっかりWi-Fi接続なんてことが起こらないからである。

 

当時の筆ぐるめ20はCDかDVD版だったが、たった1台にしかインストールできない仕様でソフトの引っ越しができない。筆ぐるめは年末年始にしか使わないので、そのためだけに新しいソフトを買うのは面倒だったのである。使える限り使うつもりだった。

 

今年の夏頃、住所録に1名追加したがそのWindows7は普通に使えていた。そもそもパソコンがレッツノートSX3なのでこのクラスのアプリは問題なく使える。当時の筆ぐるめ20は最適OSもウインドウズ7と思うので、メモリさえ積んでいれば問題ない。メモリは12Gであった。メモリは4GBに8GB造設しハードディスクも自分で500GBに換装していた。

 

 

ところが、いざ立ち上げるとパソコンが不穏な動きだったのである。まず起動途中でフリーズを繰り返した。仕方なく強制終了し再起動するが、かろうじて立ち上がっても筆ぐるめは起動しない。

 

これは住所録が失われてしまいかねない危機である。毎年住所録のバックアップを取って入れば良いが、もちろんそんなことはしていない。

 

そこでセーフモードで起動してみた。セーフモードでは解像度が低く、デスクトップの画面は狭くなりアイコンはバカでかくなる。しかしセーフモードでは筆ぐるめは起動したのである。少し解像度を上げてなんとか広い画面を見られるようにしてバックアップしてみた。

 

バックアップできているのは、住所録(自分、患者さん、嫁さん)の3つと、それ以外にレイアウトも全てバックアップされていた。これで完成である。

 

さて最新版筆ぐるめ30は、アマゾンでダウンロード版を購入することにしたが、ダウンロードのやり方がわかりにくいという苦情が多く評価が低かった。これは過去に同じようにダウンロード版ソフトを買ったことがあるので、なんとかなると思った。

 

結果、ダウンロード&インストールは問題なく終了。ダウンロード版筆ぐるめ30は2種類あり、高い方(3951円)は5台までイントールできる。安い半額のソフトは1台しかインストールできないので、今回のように困ることなりかねないリスクがある。今回は5台までインストールできるソフトを購入。

 

これで完璧と思ったがそうではなかったのである。セーフモードでバックアップした住所録に喪中はがきなどを見てチェックしていると、なぜか既に亡くなっていて削除したはずの人が残っている。住所変更などや結婚して名字が変わっている人も昔のままだったのである。これではないよりはずっとマシだが、かなり困ることになる。

 

調べると、住所録のバックアップはなぜか2015年と古いものであった。これでは一か八か、やはり通常モードでパソコンを立ち上げるしかないと思った。

 

このウィンドウズ7はOSがおかしくなっているか、ハードディスクが死にかけなのか分からないが、起動が不安定なだけで偶然立ち上がるかもしれないと思った。セーフモードで起動時に立ち上がるソフトを制限してみたが、やはりうまくいかない。

 

今日の夕食の後、もう一度、起動したら、なぜか無事に立ち上がり、なんと筆ぐるめも起動したのである。

 

そこで素早く住所録をバックアップしたところ、最新の住所録を保存することができた。

 

これで今年の年賀状も遅ればせながら開始できそうである。

 

 

精神科治療の経過や転帰は検証しにくい話

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これはアメリカで心臓外科医として働く北原医師のインタビュー動画である。前半は給料の話であるが、面白いと思ったのは7分50秒くらいから語られる心臓外科医の評価の話。

 

北原医師は手術の技術もだけど、スタッフとの円満な関係を築けることも重要と語っている。アメリカの医師は総合的に評価されていると言う。北原医師の「一昔前の日本は、パワハラ、セクハラなんて当たり前の世界だった」と言うのには大笑い。そのようなことは、アメリカでは到底許されないと言う。

 

また心臓外科医の手術は結果が出るので一目瞭然と言っている。つまり心臓外科医の評価は、患者さんや同僚など、誰にでも優れた医師かどうかがわかりやすい。

 

また手術の上手い下手だけでなく、ジャッジメントなどはわかる人にはわかると言う。(おそらく診断など大きなものだけでなく、どの手法を選択すべきか?など医師にしかわかりにくい判断のことを言っている)

 

しばしば変なことをしている医師は、それらがわかる人にはわかるので、いざ失敗が重なったときに周囲に助ける人がいないらしい。

 

ここで本題に入るが、精神科の場合、ある患者さんを治療し始め、ある転帰に至った時、他の医師が治療した際にはどのような経過を辿りどのような転帰に至ったかが検証にくい。

 

精神科では、今の病状が最善に近い治療によりその結果なのか、好ましくない治療でそこに留まっているのかが、判別しにくいのである。

 

最近アップした記事。

 

これは4つの一連の記事の最初であるが、この患者さんは良い転帰となったが、他の医師が治療した際、いかなる経過になったのか全然わからないところがある。

 

また重要なことは、精神疾患の中でも統合失調症は慢性進行性とされているので、十分な時間が経ち転帰が悪かったとしても、平均的な経過と著しく乖離しているとみなされないこと。

 

精神科医が自らの治療の質の差異を感じる機会はあまりなく、経験的には例えば院外の病院の外来を一定期間(数年)診察治療した時に感じることができる。僕の経験では悉くと言って良いほど、以前より改善していた。当時、不思議に思ったことは、たいして薬を変更しなくても良くなった人が多かったこと。これは治療はアナログであることを示唆している。

 

他、ある病院から他の病院へ異動した後、それまで診ていた患者さんの経過が思わしくない時。

 

もちろんあまり差がないこともあるが、異動では入院患者さんも評価できるのが良い。精神科治療は理屈ではない部分もかなりある印象である。(精神医療はデジタルではない)

 

その視点では、精神科医に比べ、明瞭に結果がわかる心臓外科医は厳しい評価に晒されていると思う。

あけましておめでとうございます。2023年元旦

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今年は卯年だが、ウサギの動画はないので代わりにネコの動画をアップする。上のネコはあまり食欲がないのか途中で食べるのをやめている。ネコおばさんが餌をやるところを見ていると、ネコの食べ方には特徴があることに気づく。

 

この辺りのネコは餌を貰い慣れていて、人を警戒するネコはかなり少ない。それでもコンクリートの上に餌を撒いてもらっても最初はなかなか近付かず、こちらが立ち去るような素振りをすると、じわり餌に近づきやっと食べ始めるネコもいる。最初にまず念のため餌の匂いを嗅いでみるネコもいる。

 

ネコおばさんのカリカリには小さい「いりこ」が入っていて、特定のネコにとっては、いりこが当たりらしい。いつもいりこだけ最初に食べている。すぐにいりこがなくなると、顔を見上げるので、いりこを希望しているんだと思う。

 

 

いりこ希望はこのネコです。このネコは僕がよく餌付けの時にネコおばさんと一緒にいるので、餌をやる人と間違えているわけ。ネコは車の色か形かエンジン音か知らないが完璧に覚えていて、駐車場に停める時、さっとドアの前にやってきて、こんな風に三つ指ついて待っているわけ。まるで飼い猫みたいでしょう。

 

ある日、ディーラーに車検で車を出していて代車で来たら、このネコは僕に気づかなかった。ネコが車を認識しているのは間違いない。

 

ところで、大晦日から1泊で近場の温泉旅館♨️に1泊して今さっき帰ってきた。肩が凝っていたが、少し凝りも軽くなったと言った感じ。

 

今年は年末に冷え込み、かなり雪が降っていたので、帰省できても宿泊地までは行けないのではないかと思い予約を全てキャンセルしてしまった。実際は大丈夫だったようである。

 

ここ数年、新型コロナの流行で、同門の先生に会う機会が激減している。まだ僕は院長会で会うが、機会そのものがあまりなくなっている。

 

今日、もう年賀状がたくさん届いているが、あまり人に会えないことが触れられていた。確かにそうである。

 

今年は良い1年になりますように。今年もよろしく。

 

光がまぶしいと音が響くという症状

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「光がまぶしい」という症状は、以前より光がまぶしく感じられる時に言われる。まぶしくない環境でそう訴える時、感覚の変化が起こったことを意味している。

 

この症状は若い人はあまり言わない。40歳代以降に診られることが多い。この症状が出ると、パソコンやスマホがまぶしいため、輝度を落としたりブルーライトカットフィルターを購入したりする。一方、若い人は高い輝度のスマホ画面をあまり苦にしないことが多い。

 

若い人で光がまぶしく感じる人は、発達障害ないしそのグレーゾーンで感覚過敏を持つ人くらいだと思う。

 

光がまぶしいという所見は、若い世代の精神病、例えば統合失調症の発病時に診られることはまずない。統合失調症の人の幻覚は聴覚に多く、視覚的なものはほとんどないことも関係している。

 

視覚的幻覚を見る若い精神病状態にある人は非定型病像であることが多い。例えば、統合失調症の人が保護室に隔離されていて、「海鳥が歩いている」と言う訴えである。

 

美しい景色が見えると言う訴えもあるが、ある種の恍惚状態を呈していて、大量のドパミンが溢れ出ているような状況だと思う。同じような異常体験は幻覚を惹起する違法薬物でも見られる。

 

いずれにせよ、視覚的幻覚は統合失調症ではなくはないが典型的とは言えない。

 

40歳代以降の人でスマホや室内の照明が異常にまぶしく感じられるようになった際は、まず眼科に行くべきである。眼科で、例えば「白内障」などの診断を受けることがある。

 

白内障では初期に光がまぶしく感じられるが、次第にまぶしさに慣れてくる。もちろん白内障以外の眼科疾患も考えられる。以下の記事では白内障について触れている。

 

 

普通、光がまぶしい以外の精神症状がない時、たいていの人は眼科に受診するか、放置すると思われる。従ってこの症状だけで精神科に受診する人はいない。

 

精神科医が光がまぶしいと言う症状を聴く機会はリエゾンのことが多い。(頻度は稀)

 

過去ログでは「光がまぶしい」という症状がSSRIの離脱の際に診られたと言う記事がある。

 

 

ほとんどのケースで、急性ないし亜急性に出現した光がまぶしいと言う症状は精神疾患との関連が薄い。

 

一方、「音が響く」と言う症状はさまざまな精神疾患で診られることがあるが、必ずしも内因性疾患と深い関係があるとは言えない。現代風に言えば、発達障害や神経症の人の感覚過敏として語られることの方が多い。

 

そもそも「音が響く」と言う症状は、「幻聴」体験のスペクトラム上にあるのか怪しいものだと思う。

 

一般にヒトは眠り際に音がキンキン響くように感じるし、単に疲れているだけで音が響くように感じる。疲れると感覚は鈍くなるわけではなく、むしろ大きな音に耐えるだけのエネルギーが枯渇して音が響いて感じるのかもしれない。

 

高齢になると、大きな音が非常にストレスに感じられることがある。高齢者の近所との騒音トラブルも、「大きな音に耐えるだけのエネルギーが枯渇」しているイメージである。

 

これらは高齢者の脳動脈硬化などに由来する性格の先鋭化も関係している。性格の先鋭化とは、細かいことにうるさい人がよりうるさくなるとか、癇癪持ちの人がより些細なことで癇癪を起すなどを言う。(だからこそ近所とトラブルになる)

 

一方、精神的あるいは身体的ストレスのためにある精神疾患が発症する経過だと、その途上に「音が響く」と言う症状がみられてもおかしくない。

 

音が響くと言う所見は生理的にも起こりうるし、実際に精神疾患が重くなる過程で出現することもある。

 

つまり、音が響く症状は、非特異的所見なんだと思う。

 

このように見ていくと、同じような感覚所見の「光がまぶしい」と「音が響く」はかなり異なる症状であることがわかる。

 

 

診察時にタブレットがあると便利

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精神科医はカルテに主に日本語で記載している。もし100%、英語やドイツ語とか、稀にフランス語で記載しているとしたら、真にリアルには記載していないと言える。なぜなら翻訳しているわけで。

 

 

そもそも患者さんの話す内容をカルテに「てにをは」を含め100%正確に一字一句間違えずに記載せねばならないらしい。当時、スマホもない時代で録音もできるウォークマンがないと無理な話であった。

 

僕は、そのようなことは研修医の頃から意味がないと気づいていたので、もちろん正確には記載していなかった。(できなかったと言うのが正しい)

 

ただし、精神科医が患者さん(およびカルテと言う作品)にかける時間と、精神症状の改善の規模は比例しない(←重要)

 

カルテと言う作品と言うと大げさになるが、確かに価値があると思えるカルテが書ける精神科医がいる。それは文学的と言うのはニュアンスが違う。精神症状を正しく相応しい日本語(もちろん語彙が必要)で詳細に書ける技術を持つ精神科医である。

 

たぶん、ルーリードのような感性を持つ精神科医なんだと思う。

 

 

そういう人は非常に稀なので、僕は羨望を超えたリスペクトをしている。そのような精神科医が、実際に治療が上手いのかどうかも非常に興味がある(ただし確認ができない)

 

 

日本語で記載する際、漢字をうっかり忘れていたり、思い出せないのは非常に困る。これは紙カルテと電子カルテの決定的な相違だと思う。電子カルテではパソコンが簡単に教えてくれる。

 

最近、即座に思い出せなかった漢字

〇警察に逮捕された。(逮捕)

〇窃盗で留置されている(窃盗)

 

全く恥ずかしい話だが、ある時期は普通に思い出せていたものが時間が経ち思い出せなくなるのはなんなのよ?と思う。

 

そういう時、タブレットを診察室の机に置いておくと、すぐに調べられるのは非常に助かる。また患者さんから不自然に見えないのはなお良い。

 

よく、ネットでは「主治医が診察中、パソコンばかり見ていて自分の方を見てくれない」と言った不満を見ることがあるが、精神科医がパソコンに入力していると、患者さんが疎外感を持ちやすいところはある。タブレットは小さいので患者さんはそういう感覚になりにくい。むしろ、「自分のために時間をかけて調べてくれる」くらいに思う患者さんもいる。タブレットにカルテ記載はしないので。

 

またインターネットに繋がっているので、すぐに添付文書が検索できるのも良い。ある薬を処方するとして、何錠(何㎎)から始めるのか、何日過ぎれば増量できるのかはっきり思い出せないことがある。

 

初回投与時に何ミリから開始というルールを逸脱し高用量から開始していると、患者さんに不信感を持たれかねない。僕はそういうミスはまずしないが。その理由は微量から始めることも多いからである。

 

また稀なケースで、患者さんがネットで調べすぎて誤った理解をしていることがある。それをタブレットで検索して本人に見せることで、誤りを正すことも可能である。

 

過去に患者さんが間違っていた例

〇エビリファイは糖尿病に禁忌

〇リスパダールは糖尿病に禁忌

〇メマリーは腎障害に禁忌(本人ではなく家族)

 

などが挙げられる。即座に訂正できるのは便利である。

 

精神科でも電子カルテは主にクリニックでは多くなっていると思う。精神科病院ではなかなか電子カルテに移行できないものである。その大きな理由は、電子カルテについて行けない看護師がいること。

 

そもそも前病院で電子カルテ導入を契機にうちの病院に入職した人がそこそこいる。

 

電子カルテ導入でその人たちが一斉に退職してしまうと、病院が潰れるからである。

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