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非定型精神病とレビー小体型認知症の幻覚妄想について

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過去ログでは非定型精神病には特徴的な妄想があると記載している。

上の記事から抜粋。

 

非定型精神病の婦人が亜昏迷や夢幻様状態を呈すると、息子が逮捕されてしまった。今は警察にいるんでしょう?とか、娘が入院してもう死ぬかもしれない。すぐにお見舞いに行きたい。などの妄想?が出現することがある。もちろん訂正は不能である。この非定型精神病の人の妄想だが、トータルではそうそう目撃するものではないし、そのタイプの患者さん全員に出るわけではない。また、子供がいない婦人には出現しない。

 

この妄想は、うつ状態なのに自分のことより家族のことを心配していることがポイントだと思う。またこのような妄想内容も家族仲が良いことをよく表わしている。

 

非定型精神病とレビー小体型認知症はおそらく近縁にあるかもしれない精神疾患だと思う。しかしレビー小体型認知症から、上に記載した妄想はほとんど聴いたことがない。

 

かつて非定型精神病を診て、この人は「てんかん」とか、「パーキンソン病」などと言う精神科医がいた(実話)。そのような精神科医は非定型精神病の診断を認めないタイプだったのかもしれない。

 

非定型精神病とレビー小体型認知症に似ている点を挙げていくと、まず家族関係が円満な家庭が多いことが挙げられる。また本人の性格がおしなべて気性が激しいことが多い。

 

また、非定型精神病にも特に悪化時にパーキンソン病に似た振戦や筋強剛が出ることがある。レビー小体型認知症は浮動性と呼ばれる症状が安定しない面があり、その点では似ている。だからこそ、かつて非定型精神病をパーキンソン病と言う精神科医がいたのである。

 

また似ている点として概ね薬に弱いことも挙げられる。非定型精神病とレビー小体型認知症の人は非定型抗精神病薬を処方すると少量でもパーキンソン症状が出やすい。

 

この2つの精神疾患の大きな相違点は、幻覚の内容である。元々非定型精神病では妄想は明確に言うが、幻覚はあるかないかわかりにくいことが良くある。ああいうことを言うからにはたぶん幻聴があるのでは?と主治医は思うものだ。

 

非定型精神病の夢幻様状態では幻視もありうるが、レビー小体型認知症のそれとは異なる印象である。美しい光景が見えたり、時に動物が見えたりすることもあるが、本人との関わりが異なる。非定型精神病では部屋に来たアザラシに何かエサをやろうと思ったと言う話が出てきたりするが、レビー小体型認知症ではそのような関わる話がまるでない。

 

レビー小体型認知症では、自分の部屋に動物が来たとか子供がいるなどの幻視が特徴で、一般的な幻覚に比べあまり情動面を揺り動かさないように見える。

 

他、細かいことを挙げれば、レビー小体型認知症はしばしば足元のふらつきがあるが、非定型精神病にはそれがない。

 

ところがである。最近、非定型精神病の患者さんを長期に診ていたら、入院中、初めてレビー小体型認知症らしい幻視を訴えたことに驚いた。

 

それまで「息子が逮捕された」的な妄想を言っていたのに、経過中、「部屋に男の人が入って来た」とか、「動物がいる」と訴えたのである。明らかに幻覚妄想の質が変わったと言えた。

 

ここで、「息子が逮捕されていないか?」は、不安感及びうつから説明のつく妄想であるのに対し、「動物が来ている」と言う幻覚は、あまりにも非定型精神病的な文脈がないことに注意したい。

 

このようなことを考えていくと、非定型精神病の中核的妄想は内因性っぽいが、レビー小体病の幻覚にはそれがないことに気付く。「動物が来た」とかいうのは内因性と言うよりそれ以外、たぶん器質性なんだと思う。

 

そもそもレビー小体型認知症のうつ状態以外の症状は、ほとんどが器質性疾患と言えるものだ。(認知症やパーキンソン症状や幻視)。

 

従って、上記に挙げた幻覚妄想の変化は加齢の影響もかなりあるのではないかと思ったのである。(老化による器質性変化のこと)


ビシフロールと薬剤性開口及び嚥下障害の改善について

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ビシフロールはパーキンソン病と中等度から高度の特発性レストレスレッグ症候群に対する治療薬である。元々、パーキンソン病のみの適応だったが、後にレストレスレッグ症候群の適応が追加されている。

 

精神科医は抗精神病薬による錐体外路症状の緩和のためパーキンソン病薬を処方することがあるが、パーキンソン病そのものを治療することは滅多にない。そのため、新しいタイプの抗パーキンソン病薬を処方することはほとんどなく、あったとしても神経内科医の継続処方くらいである。従って精神科医が処方する抗パーキンソン病薬は限られている。以下のリンクは定番のアキネトン(ビペリデン)がなくなってしまう話である。

 

 

パーキンソン病薬の中で精神科医にとって、ビシフロール(プラミペキソール)は少し特別な向精神薬だと思う。その理由は、レストレスレッグ症候群の治療薬として処方する機会があるパーキンソン病薬だからである。

 

しかも、ビシフロールはうつ病や双極性障害のうつ状態に対しエビデンスレベルは低いが、代替療法として挙げられている。

 

ビシフロールはD2やD3レセプターへの親和性が高くその刺激作用によりパーキンソン病を改善するが、レストレスレッグ症候群はD3レセプターへの親和性が貢献していると言われている。

 

このように記載していくと、微量のエビリファイやレキサルティに似ているように思うかもしれないが処方感覚としてかなり相違がある。特にレキサルティはD2に対し遮断傾向もやや強くなるし、エビリファイも少なくともレストレスレッグ症候群を悪化はさせても改善しそうにない。似ている点を挙げるとすれば、うつ状態にオーグメンテーション的に良い可能性があることだと思う。

 

ビシフロールはうつに対しエビデンス的に有効性が認められるほどの効果はおそらくないと思うが、極めて忍容性が低い人に単剤処方すると、多少はうつに対し効果が感じられると言う人がいる。ビシフロールは何らかの抗うつ剤との併用では効果が紛れてほとんど意味がないように見える。

 

精神科医がビシフロールと言う薬の感覚をなんとなく掴めるのは、処方機会があることから来る。それが他の多くの抗パーキンソン病薬との相違である。

 

今回はビシフロールが抗精神病薬により引き起こされた開口及び嚥下障害を改善することについて。

 

抗精神病薬による開口及び嚥下障害は、高齢者の精神病状態の治療経過中出現することがある。これは非常に困る事態で、誤嚥性肺炎を起こしやすい。しかもなかなか改善しないのである。

 

高齢者では脳内でドパミン遮断に対し副作用が出やすい状況が生じていることが多い。それはたとえ精神病状態が起こっていたとしてもである。

 

高齢者の精神病状態に対し、僕はジプレキサを処方することが多い。躁状態もあるならエビリファイの高用量を処方することもある。このいずれかが良いことが多い。ジプレキサを選択する理由はいくつかあり、ジプレキサザイディスが口腔内で速やかに崩壊し服用し易いことと注射剤もあることを重視している。

 

このような精神症状ではたぶんシクレストも良いと思うが、やや使い辛い仕様になっているのであまりこのような状況では処方しない。

 

高齢者の場合、ジプレキサよりエビリファイの方が開口障害や嚥下障害が起こりにくい感覚はあるがやはり人による。しばしば精神病状態が落ち着き、相対的に抗精神病薬の薬効が過剰になるタイミングで起こりやすい。

 

いったん、嚥下障害や開口障害が生じるとすぐには良くならないことが多い。以下はかなり前の過去ログだが、テレビで放映されたドグマチールで動けなくなった老人の話を紹介している。

 

 

このような抗精神病薬による開口及び嚥下障害に対し、ビシフロールは治療的である。長い病期をかなり短縮する傾向がある。用量については0.125㎎~0.25㎎程度で充分なことが多い。この際、原因となっている抗精神病薬を中止することが必須である。

 

今回の記事は「長期の抗精神病薬による嚥下障害」という過去ログの続きになっている。

 

また、今回挙げた高齢者は初回入院でエビリファイで比較的短期間で開口及び嚥下障害が生じビシフロールで改善した事例である。短期間で生じたからこそ1~2か月で消失したと思う。

 

長期投与の抗精神病薬による嚥下障害は食道のジスキネジアから来ているように見える。開口障害も嚥下障害の1つのファクターである。以下の記事から要点を抜粋している。

 

 

食道は上部3分の1はヒトが随意に動かせる。ここに分布する筋肉が随意に動かせるため、飲み込みに失敗した時に自力で吐き出せる。解剖学的に食道上部3分の1は随意筋かつ横紋筋である。食道は下に行くほど平滑筋が多くなり、これらはヒトが随意に動かせない。

横紋筋はほとんど全て随意筋(ヒトの意思で動かせる)だが、唯一の例外は心筋である。これはヒトが自力で止めたりできない。心筋は骨格筋と同じ横紋筋ながら自由にできない筋肉である。

抗精神病薬の副作用のセオリーとして、ジスキネジアやジストニアなどの長期のドパミン遮断作用により引き起こされる不随意運動は、横紋筋のような随意筋にしか生じない。言い換えると、自分の意思で動かせる筋肉にしか生じないのである。

食道の上部3分の1の横紋筋に不随意運動が生じると、うまく飲み込めず、吐き出すことも容易でなくなる。即ち慢性的な嚥下障害に至るのである。

 

なぜビシフロールが有効なのかは不明であるが、一般的な抗パーキンソン病薬より、温和な作用機序も関係しているのではと思う。また、ビシフロールが神経保護的に作用しているように見えることもある。

 

また推測として、ビシフロールのD3レセプターの親和性から来る神経栄養因子などが関与しているのでは?と思う(私見)。

 

余談だが、うつ病に対するケタミンなども神経栄養因子が関与しているのでは?と言う研究者もいる。

 

 

アンプリット25㎎欠品の話

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今回は、かなりマイナーな話。

 

アンプリットは、比較的忍容性が低い人でも服用できる3環系抗うつ剤という話を過去ログにアップしている。アンプリットの良い点は、効果と副作用のバランスが3環系抗うつ剤にしては良いことが挙げられる。

 

ただし、おそらく現在、日本国内でアンプリットを服用している人はほとんどいないと思う。

 

しかし、かつておそらく1990年頃だが、アンプリットばかり処方する精神科医すらいた。その理由は、トリプタノールやトフラニールに比べずっと処方しやすいからである。

 

アンプリットがほとんど処方されなくなった理由はいくつかあり、1つは現在の抗うつ剤がかなり優れていることが挙げられる。

 

また、アンプリットを処方したことがない精神科医もかなり多くなっていると思われること。民間の精神科病院で採用されていないことが普通にある。

 

1つ言えるのは、アンプリットが劇的に処方された時期など1度もないこと。やはりSSRI以前の主流の抗うつ剤はアモキサンとルジオミールで、重い人にはトリプタノール、トフラニール、アナフラニール、ノリトレンくらいが処方されていた。

 

 

アンプリットは後者4剤ほどの重い副作用がなく、効果もそこそこあると言う立ち位置であった。絶対値的な抗うつ効果はアンプリットよりアモキサンが上回っていたと思う。アンプリットの問題点は、当時でさえ精神科病院で採用されていないこともあり、知名度が低かったことも挙げられる。

 

指導医にアンプリット好きな精神科医が一定の割合でおり、彼らがうつ病の状態と忍容性のバランスでアンプリットの処方法を若い医師に教示していたと言えた。僕は直接に指導を受けたことがないが、当時、県内で名医で有名な○○先生が好んでアンプリットを処方していると言う話を聴き、自分でトライして効果を確認したのである。これは1990年より以前の話である。

 

ニッチに位置するアンプリットはこのような理由で、SSRIが忍容性的に使えない人たちに抗うつ剤を処方する場合、アモキサンかルジオミールが優先され、アンプリットは処方されないと言う微妙な薬であった。

 

アモキサンやルジオミールが副作用的に服薬できず、アンプリットは服薬できることも普通にあるが、現在の若い精神科医はそのルートに行かない。

 

そのようなことから現在アンプリットはほとんど処方されない抗うつ剤になったのである。

 

今回、アンプリットが欠品すると言うアナウンスがあった。アンプリットはもちろん先発品で、ジェネリックはたぶんないと思う。これは諸般の事情と言う話だが、先日アップしたアモキサンの自主回収の話と関係があるのか不明である。

 

少なくとも、アモキサンがなくなるので仕方なくアンプリットに切り替えた、という話ではない。その理由はアンプリットは処方したことがない精神科医も今は多く、処方したことがない抗うつ剤をこの機会に処方するわけがないからである。

 

 

アモキサンは2023年2月1日から自主回収が始まる。病院に残っていても回収されて処方できなくなるのである。発癌リスクの成分が入っているということはそういう意味である。

 

ファイザーは2022年8月、アモキサンカプセル及び細粒に発癌リスクのあるニトロソアミン化合物が検出されたことを受け、他の抗うつ剤への切り替えを要請している。

 

発癌リスクとはいえ、ニトロソアミンは焼き魚のあの焦げなので、多少食べたとしてもたいした有害性などない。しかしこれが長期に服用する薬に微量でも入っていると言うことは問題視される。

 

今回、アンプリット25㎎錠は購入ができなくなるが、10㎎錠は細々と購入できるらしい。アンプリットにはニトロソアミンは混入していないからである。

 

このような流れをみると、長期的には古い3環系抗うつ剤や4環系抗うつ剤は次第に発売されなくなり、新しい抗うつ剤だけのうつ病薬物療法の時代になるのかもしれないと思った。

尾道市の林芙美子記念館

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今回は尾道市の林芙美子記念館を紹介したい。僕のブログで尾道市を紹介するのは2001年に広島で国際神経精神薬理学会が開催された旅行記以来である。今回、家族で尾道旅行した際に立ち寄った時に撮影。

 

 
 
林芙美子記念館は尾道市のレトロな商店街の入り口近くにある。在来線の尾道駅を降り歩いてすぐの場所である。この商店街はとても懐かしさを感じる。それはそのまま昭和の映画撮影に使えるほどだと思う。
 
 
林芙美子は諸説あるが、おそらく北九州の門司で出生。幼少時から恵まれない複雑な生活歴であった。この記念館では彼女の生活歴や写真が展示されているが、Wikipediaの記載と少し異なっている部分もある。Wikipediaの方がやや詳細に記載されている。
 
 
 
尾道に転居後の状況が書かれている。林芙美子は早くから文才を認められ、篤志家などの援助により尾道市立高等女学校に進学している。戦前の作家は、赤貧洗うような作家もいないわけではないが、どちらかと言うと家庭に恵まれた人が作家や詩人になっているケースが多い(中原中也や坂口安吾)。進学率が低く教育を受けたくても受けられない人たちが多かったためである。そのようなこともあり、林芙美子のように異端の生い立ちを持つ作家は陰口を叩かれるところがあったのだと思う。
 
Wikipediaから抜粋。
その生涯は、「文壇に登場したころは『貧乏を売り物にする素人小説家』、その次は『たった半年間のパリ滞在を売り物にする成り上がり小説家』、そして、日中戦争から太平洋戦争にかけては『軍国主義を太鼓と笛で囃し立てた政府お抱え小説家』など、いつも批判の的になってきました。しかし、戦後の六年間はちがいました。それは、戦さに打ちのめされた、わたしたち普通の日本人の悲しみを、ただひたすらに書きつづけた六年間でした」と言われるように波瀾万丈だった。
 
 
 
女学校時代の友人と一緒に撮影されている。
 
 
放浪記は彼女の代表作。尾道市は林芙美子という作家の出発点だと思う。彼女は放浪し尾道市に来たことで人生が良い方向に開けた。
 
 
 
林芙美子は東京に出てからも金銭的に恵まれていなかった。また恋愛、失恋も繰り返している。作品がお金になり始めてからは単身であちこち海外に渡っている。
 
このブログ風に言えば、ある意味、ADHD、双極性障害的な人生だったといえる。(パリに行き飢え死にしそうになるなどの行き当たりばったりな計画)。なお、彼女がADHDとか双極性障害と言っているのはない。
 
 
関東大震災時には尾道市に疎開している。
 
 
この写真は凄くないか?
大東亜戦争時にもあちこち現地を訪れて従軍記などを書いている。今、ウクライナの激戦地を訪問することを想像すると、いかに向う見ずだったのかがわかる。彼女のような性格ででないとなかなかできないことだと思う。
 
年表。彼女はかなり作品が多いが、貧しい頃、作品を売り込むことに苦労した経験があり、多くの仕事を断らず受けていたという。彼女が心臓発作で、47歳で亡くなったのは、そういうこと(過労)も関係しているのではないかと思った。
 
 
 
最後に猫の細道から見た尾道市街地。尾道はとても猫が多いところらしい。(写真なし)
 
 
 
 
 
 
 
 

アモキサン中止の顛末記

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今回、令和5年2月からアモキサンは順次自主回収になり処方できなくなる。

 

 

今回はアモキサン中止の感想などをアップしたい。

 

アモキサン自主回収にあたり半年ほど猶予期間が設けられたため、最初頃はあまり処方は変更しなかったが、11月頃から順次、漸減中止していった。アモキサンを処方している患者さんは自分のデータベースによると8人ほどおり、極端に大量を使っている人はいなかった。

 

アモキサンを処方するからにはそれなりの理由があるため、単剤でアモキサンを処方している人は少ないのではないかと思った。併用だったとしても精神症状が軽快後、処方をスリムにする際にどちらかを減量中止の際にアモキサンが残るケースはある。

 

実際、8人の処方内容を調べると、5人がアモキサン含め2剤併用であった。3剤併用の人はいなかった。3人がアモキサン単剤処方だったのである。

 

5人の併用されていた抗うつ剤は全て異なっていた。これは非常に興味深い。

 

一応、読者の方には知っておいてほしいが、精神科薬物治療の場合、ほとんど同じ症状でも、処方内容が全く異なるということは普通にある。それは忍容性が理由であることもあるし、遺伝子的な相違もあるかもしれないと思う。

 

〇トリンテリックス10㎎+アモキサン50㎎

〇トフラニール150㎎+アモキサン50㎎

〇ルジオミール50㎎+アモキサン25㎎

〇イフェクサーSR225㎎+アモキサン200㎎

〇サインバルタ20㎎+アモキサン25㎎

 

こんな風である。この中で、トフラニール150㎎と併用があったのは自分でもちょっと驚きだった。

 

アモキサンは馬力が出るタイプだが、これだけ併用が多いと言うことは、簡単にはうつが改善しない人に使われていると言える。だからこそ妙な組み合わせが多いのであろう。

 

そもそもアモキサンは第一選択で処方されることがない薬である。僕が古い薬を好んで使うわけではなく、今データベースを調べると(すべてが記載されているわけではない。新しい人は入っていない)

 

サインバルタ   48人

レクサプロ    38人

トリンテリックス 23人

リフレックス   46人 (ミルタザピン)

パキシル     11人 (パキシルCR、パロキセチン)

ジェイゾロフト  8人  (セルトラリン)

デプロメール   8人  (フルボキサミン) 

イフェクサーSR  2人

ルジオミール   4人

レスリン     28人 (トラゾドン)

(アモキサン)  8人

 

こんな風であった。感覚的には僕はサインバルタ、レクサプロ、トリンテリックスを好んで使い、相対的にジェイゾロフト、パキシル、イフェクサーSRはあまり処方しない。そのような処方の人が紹介されてきたら、そのまま処方を続けるか、経過が良くないなら他の抗うつ剤を試みるよう本人に勧めることが多い。

 

アモキサンを中止する際、何に変更すると良さそうに思えるかと言えば、サインバルタだと思う。サインバルタはSNRIで抗うつに対し潜在力が高いからである。

 

実際、アモキサンからサインバルタに変更したことで積極性が出て、生活が好転した人もいる。例えば、食事の片付けがなかなかできず、イライラしていたのが今は片付けまで楽にできるらしい。このような人はサインバルタの方が抗うつ剤として一段階優れている。

 

また、アモキサンからサインバルタに変更したことで、腰痛や肩こりが改善したという人もいる。これは非常に興味深いと思った。以下は2012年の過去ログである。

 

 

 

上の「旧来の抗うつ剤」の記事では疼痛に対しアモキサンが全く挙がっていない。これほどメジャーな抗うつ剤なのに言及されていないのは、アモキサンは疼痛に対しそこまで効果的ではないのかもしれないと思った。

 

アモキサンからSSRIに変更しにくいのは、効果の出方や質が違い過ぎるということがある。そもそもアモキサンが処方されている人はSSRIで副作用が出るとか、効果的でなかったために古いアモキサンが処方された人が多い。または、SSRIが発売される以前から服用を続けている人たちである。

 

このように記載すると、あたかも抗うつ剤は中止できないように見えるかもしれないが、治療する側から見ると、抗うつ剤を時間が経ち、もはや服用していない人がかなりいる印象である。

 

そのような人は、メイラックスだけとかソラナックスだけなどの抗不安薬1剤か、ベンゾジアゼピン系の眠剤1剤に落ち着いている。ここでなぜベンゾジアゼピン系なのかというと、それ以外の新しいタイプの眠剤は、なにがしかの抗うつ作用が軽微でさえないからだと思う。(例外はロゼレム)。

 

また、抗うつ剤に持続性の注射剤(エビリファイLAIやゼプリオンなど)がない理由は、抗うつ剤は統合失調症に対する抗精神病薬のように超長期に服用するように考えられていないからと言う話である。

 

トリンテリックスは、それまでうつでできなかったことが色々できるようになると言う点ではアモキサンに似ている。トリンテリックス的な体が動くようになるという効果である。このような点で、アモキサンからトリンテリックスに変更も悪くないと思う。アモキサンからトリンテリックスに変更の際には、嘔気が出るので注意喚起するか、モサプリドを併用した方が良い。

 

またアモキサンの方が自律神経系副作用が多いので、例えばトリンテリックス単剤にしたことで動悸がなくなったという人もいた。

 

また、SSRIを服用したことがない20年来アモキサンを服薬しているような人は、既に寛解状態にあるので普通にレクサプロでも良いとも思う。

 

アモキサンを他の抗うつ剤に変更する場合、どれを選ぶかは主治医の抗うつ剤の好みも影響する(この記事もそう)。

 

まだ切り替えが完全に終わっていない人もいるが、ほとんどの人は問題なく他剤に移行できている。

 

 

 

エサを貰って食べているハチワレさん

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ネコおばさんからエサを貰って食べているところを撮影。白が多いハチワレさんである。右耳がカットされておりオスネコだと思う。

 

 

この周辺のノラネコはいつのエサを貰いすぎていて、途中で食べるのをやめてしまうこともよくある。

 

 

ネコにより性格が違う。ネコはツンデレとか言うが、ネコによりかなり差がある印象。このネコはツンデレタイプだと思う。

精神科病院の新型コロナクラスターの話

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精神科病院で新型コロナ感染者が出ると、精神科疾患の特性により病棟内でクラスターになりやすい。

 

その疾患特性とは感染予防のルールが理解できない、十分に守れないなどが挙げられる。例えばマスクを正しく付けられないとかマスクをすぐに外してしまうなどである。また、精神科病棟内のゾーニングが難しいこともある。4人部屋を感染症だけの患者さんにまとめても、すぐに出てきてしまうなどである。精神科病院での新型コロナ流行時の難しさは以下のTwitterなどにも詳しい。

 

感染症、感染防御専門のEARLさんのtweet

 

精神科医のMiiさんのtweet

 

また国内感染者が多い時期では、感染者を他の病院やホテル療養に移動させられないため、院内で看護せざるを得ないこともクラスターになりやすい点である。そもそもホテル療養できるレベルの患者さんであれば精神科入院などしていない。実際、デイケアで感染者が出た際はホテル療養となっている。

 

都道府県単位で精神疾患患者さんの新型コロナ病床は非常に少なく、国内でかなり蔓延した時期では対応できないのが現実である。

 

今の新型コロナのオミクロン株は以前のデルタ株などに比べ、感染力が強いのが特徴である。従って感染予防をしていたとしても看護職員も容易に感染する。

 

うちの病院では職員がポツポツと家庭内感染などでコロナ感染者が出ていたが、長い期間、病棟内で感染者が出ることはなかった。しかしある時、1名患者さんの感染者が出た際、院内の感染爆発は止めることなどできなかったのである。

 

なんと、その病棟の80%の患者さんがオミクロン株に感染したのである。看護職員も感染しなかった人が稀なほどであった。医師も1名以外は全員感染した。僕ももちろん感染したのであった。

 

精神科病院の新型コロナ感染(オミクロン株)の特徴は、一度に全員レベルで感染するために収束も早いと言ったところだと思う。こうなると感染者が休まざるを得ないので外来看護師などが応援に入ることになる。病棟に入った外来看護師も1名以外は全員感染したほどの驚異的な感染力だった。

 

外来看護師が応援に入ると言うことは、外来は閉鎖せざるを得ない。しかし外来患者さんの投薬はしないと患者さんが困るので、電話で再診して状況を聴き、処方箋を渡して院外薬局で薬を貰うという流れになる。

 

精神科患者さんは受診している人ならわかると思うが、急遽、他の病院に新患で受診し投薬を受けることは容易ではない。従ってこのような緊急事態でも投薬はせざるを得ないのである。

 

僕は4~5部屋の感染部屋に順番に入って診察したところ、翌日に抗原陽性となった。少し早すぎるように思ったが、他で感染する機会がないのでたぶん院内感染だと思う。

 

しかし、外来患者さんへの電話診察をせざるを得ない状況だったので、院長室にこもり、事務にカルテを持って来て貰い電話で対応した。結局、医師が復帰するまで数日間は新型コロナ感染でも働かざるを得なかったのである。

 

症状については、僕は扁桃を切除しているのもあるのか発熱がない。扁桃を切除するとかなり発熱が減るもので、このような状況だとそれだけは良かった。しかし鼻水が洪水のように出て、時々咳き込むといった具合だった。他、全身倦怠感と頭痛である。

 

僕は肺が弱い家系なので感染が肺にまで至り肺炎になることを恐れていた。薬剤師に聴くと、ラゲブリオを服薬できる条件を満たしているらしく服薬することにした。恐ろしい臙脂色のカプセルである。これを朝夕1日8カプセル5日間服薬する。

 

 

この1ボトルが1名分である。ようやく明日から休める状況になり、これから寝る時、あまりにも苦しく、翌朝、死んでいるのではないかと思った。たぶん明日から仕事をしなくても良いと言う安心感というか緩んだこともあったと思う。新型コロナ感染症は実際、突然死のように亡くなる人もいるので現実的な話である。その夜、ラゲブリオを4カプセル服用し寝たのである。

 

翌朝、起きた時、少し前日より良くなっていると思った。倦怠感が少し緩和していたし、起きた直後は鼻汁も減っていたからである。ラゲブリオは自分には有効だったのではないかと思った。

 

それから数日間は自宅で休養していた。昨年夏頃に嫁さんだけ罹患し、同じマンション内で生活していたのに感染しなかったので、もしかしたら自分はコロナに感染しにくいのでは?と油断していた。嫁さんも僕も4回ワクチンを済ませており、同じような条件だったこともある。

 

一般に一度、新型コロナに感染すると3か月から6か月は感染しにくいと言われている。特に2か月以内は罹患しない(3か月と言われていたが3か月以内で感染した人がいたらしい)。

 

今回、罹患しなかった人を調べると確かにそうだった。クラスターが出た病棟で感染しなかった人は数名だったが、そのうち3名は半年以内に感染歴がある人だった。残りの人はワクチンをしていただけの人である。この感染病棟で罹患しなかった人は真にコロナに強い人だと思う。そう思う理由は、長期入院者なのでうっかり感染して気付かなかったと言うパターンがないからである。

 

病棟内のワクチン接種率は非常に高く、長期入院の人はほとんど5回接種していた。ということはこのレベルの感染爆発では、感染そのものにはあまりワクチンは貢献していない。

 

しかし、仔細に症状を診ていくと、明らかにワクチンは重症化に有効だったように見える。患者さんはほとんどの人が5回接種を終えているのだが、職員は重い副作用のために1回ないし2回で接種をしなくなった人がいたからである。接種を中止した職員は40度の発熱が数日続くとか、味覚異常や嗅覚異常が残る人が多かった。

 

また、患者さんに1名死亡者がいたが、ある事情がありワクチンを1回も接種してなかった人であった。

 

ワクチンは感染予防はそこまで有効ではないが、重症化にはかなり貢献してるように見えたのである。

 

ある看護師さんは脳出血の副反応で接種を2回で止めていた。職場復帰した時、相当に疲弊しているのは明らかだった。嗅覚異常なども残っていたが、彼女の息子さんは全く接種していないのに普通の風邪くらいの軽さだったと言う。その後、嗅覚異常は次第に軽減しているらしい。

 

少なくとも職員で5回接種していた人では入院治療が必要とか、酸素が必要な人は1名もいなかった。ホテル療養した人すらいない。

 

ところが、病棟内には90歳前後の高齢者が普通にいるので、酸素が一時的に必要な人もいた。高齢者はほとんど5回接種しており、彼らがワクチンの意味がないと言うのは無理がある。同じような高齢者でワクチンを一度もしていない人は数日で昏睡状態に至り中核病院に移動もかなわず亡くなってしまったからである。

 

また高齢者の新型コロナ感染者はいったん治癒しても、食思が落ちたり、嚥下が悪くなったり、臥床していたためにADLが低下するなどの後遺症が残り、容易に発熱しやすくなる。つまり免疫力も低下しているのである。このようなことから、2か月後くらいに亡くなる経過もある。これらは新型コロナ関連死である。

 

一方、驚くべきこともあった。その高齢者は4回接種しており、COPDの診断があり、それでも酸素を頑として受け入れなかった人である。その患者さんは軽い風邪程度で短い期間で治癒している。

 

僕は感染初期、ちょっと味が変と言う味覚異常が2日くらいあったが、すぐに普通に戻った。鼻水は凄いが喉はあまり痛くなかった。ガラスの破片を飲むようで水を飲むのも大変と言う話を聴いていたが、そんな風ではなかったのである。僕の場合、熱は出ないが寝汗がずっと20日くらい続いた。そのため多少倦怠感が残ったが、コロナ罹患後のうつはなかった。

 

ここで注意してほしいが、倦怠感とうつは異なる病態である。また、倦怠感は罹患中と感染治癒後に持続するが、うつは早期には出てこない。おそらく何らかの理由でタイムラグがありそうなのである。

 

職場復帰して2日くらいちょっと反応が落ちていると思った。要領を得ないみたいな。これは1週間くらい旅行などで職場を離れた直後とは全く異なる感覚である。実際、嫁さんがコロナ罹患した時に濃厚接触のために1週間休み復帰した時もそのような奇妙な感覚はなかった。

 

新型コロナウィルスは脳になにがしか影響しているのは間違いない。最近、岡山大学の発表ではオミクロン株では睡眠障害が増加しているという調査結果が出ている。

 

 

実際、うちの病院の外来看護師さんは新型コロナ罹患以降、不眠になり眠剤を飲まないと眠れないと話していた。

 

精神科病院では一度に多くの感染者が出るため、速やかに集団免疫の環境になる。つまり感染爆発が凄いがその分、新規患者が出なくなるのも早いのである。

 

うちの病院ではこのレベルの大クラスターだったが、1か月以内で収束したのであった。

 

現在行われている新型コロナワクチンは6回目の話がまだ出てきていない。時期的にはもう準備していてもおかしくない時期だが、出てこないということは、そろそろファイザーのワクチンの契約が終わり、インフルエンザのように1年1回のワクチンへの移行を検討しているのではないかと思う。

 

6回目ワクチンは実施されるかもしれないが、将来的には中国のシノバック製ワクチン(コロナバック)のような不活化ワクチンを国産で生産できるようになると思う。不活化ワクチンはおそらくRNAワクチンより副反応が少ないと思うからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

新型コロナクラスター中の他科受診

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前回、精神科病院の新型コロナクラスターの話をしたが、この機会にスピンオフ的な記事をアップしたい。

 

新型コロナクラスター環境下では、他科受診の予定があっても院外への受診などできない。このような時、大学病院や総合病院で特殊な薬を処方されている人が困るのである。

 

大学病院に受診できず、仕方なくその薬を購入している。これらは必要なだけ購入は難しいので、いったん購入すると、使い切れれば良いが、余った薬は最終的に廃棄になる。そのような特殊な薬は他の人には必要ないからである。

 

受診をずらしても問題ない人は延期で良い。例えば、癌の手術をして数か月に1度再診するなどである。投薬がないのでこれは問題ない。クラスターの期間は1か月弱だったのでこれは対応可能である。

 

また受診ではないが、外来は閉めているし、タブレット面会も看護スタッフが他の業務で忙しい状況なので対応できない。クラスター期間はタブレット面会もできなくなるのである。

 

また感染者は解除期間までは入浴をしなかった。感染ゾーンにいる患者さんは潜在的にこれから感染する可能性があるため、他の患者さんと分けなければならず、小さな1人用のお風呂で入浴させていた。これはちょっと考えると簡単に思うかもしれないが、なんらかの精神疾患で入院しているわけで、とても時間と人手がかかる業務である。まして、看護スタッフも新型コロナ解除されたばかりの人が多く、体調がすぐれない状態で対応しなくてはならなかったのである。

 

食事も同じような理由で、椅子とテーブルを病棟に持ち上がり、感染者のいる病棟内だけで食事をしてもらっていた。このような方法はうまくいき、他の病棟に感染が及ぶことはなかったのである。

 

 


新型コロナクラスター時の入院依頼

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新型コロナのクラスターが起こると、新規入院が受けられないなどかなり医療に支障を生じる。うちの病院がクラスターになった時、最も重症患者さんが入院する閉鎖病棟だったため、通常なら入院させるべき患者さんをすぐに入院させることができなかった。

 

またこのような際に、他病院に急遽依頼することもほぼできないのである。読者の方も新患で診察を受けようとすると何週間、時に数か月待たされることがあると思う。新患の外来患者さんでさえそんな風なので、まして入院患者を急遽受けるなどとんでもない話である。

 

施設入所中の高齢者で入院の必要性がある患者さんはまだ良い。施設での療養で待つこともできるからである。

 

しかし統合失調症の興奮状態とか双極性障害の躁状態を呈している人はあまり猶予がない。実際、徐々に躁状態となった患者さんの入院を待たせたために、大変な躁状態になってしまったのである。例えば役場など公共施設の窓口で大変な迷惑をかけていたし、クラスターの影響は大きすぎると言えた。

 

躁うつ病の躁状態は軽い頃から病識がほとんどない人と、軽い時期はこれはおかしいという実感があり、入院を希望する人に分かれる。この患者さんは悪化の実感があり、当初は本人自身が入院を希望していた。

 

2週間くらい待たせたために、もはや民生委員や遠方の親戚に来てもらい、なんとか受診にまでこぎつけるような状態に悪化し、再診時は医療保護入院にせざるを得なかった。受診時には全く病識が欠如しており、強く入院を拒否していたからである。その患者さんは入院時の診察時に、とてつもない大声で、

 

入院させてくれと言う時に入院させてくれないで、いざ病院に来たら強制入院とは何事か!

 

と叫んだが、全くその通りであった。入院後は保護室に隔離しリーマスが効くのはわかっているので効き始めるまで追加でセレネース液を2~3㎖処方していた。

 

その患者さんはリーマスの僅か1か月半の中断後、躁状態になったが、なんと20年ぶりの躁転で、悪化するには早すぎると言えた。きれいな紛れがない躁状態でリーマスがよく効くタイプで、線形に改善していったのである。あれほど悪化していたのに入院3週間目には、「ようやく気持ちが落ち着いてきました、ホント助かりました」と語ったのであった。

 

自院患者をようやく入院させられるタイミングで、他の市内の精神科病院で大規模クラスターが起こり、今回のような患者さんを入院治療してもらえないか相談を受けた。そのタイミングでは当院も入院待ちの患者さんがまだ2~3名いたし、到底受けられる状況ではなかった。その状況は痛いほどわかるが。

 

このように、精神科病院ではクラスターが起こると外来だけでなく、自院患者さんの入院にも支障が生じ、医療崩壊を来すのであった。


 

 

 

 

 

新型コロナ感染後の心理的変化について

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新型コロナクラスター後、感染した職員に嗅覚や味覚異常が残る人がチラホラいた。男性職員の「タバコがまずくなった」と言うのも新型コロナの影響だと思う。

 

ところが、統合失調症のコロナ感染者にはほとんど味覚異常が出た人がいなかった。過去ログで、デイケアで統合失調症の患者さんたちと料理を作ると、塩が足りないのか砂糖が足りないのかわからないと言うため、健康な人ほど味覚が良くないのでは?という話が出て来る。

 

統合失調症は嗅覚や味覚に異常をきたす疾患ではないが、既に統合失調症が発症していると、その辺りの感覚が発症前よりいくらか鈍っているようにも見える。もしかしたら、新型コロナ感染によって嗅覚及び味覚に影響を来しにくいというのはあるかもしれないと思った。

 

職員の嗅覚や味覚異常は徐々に回復していくようで、ほとんどの人はパーマネントな感覚喪失ではないようだった。僕はどうかというと、感染後2日くらいやや嫁さんの料理の味が変?と思ったが、確実な変化とまで言えない。3日にはいつもと変わらなかった。

 

普通、仕事は風邪ごときで休めない。従って僕のように体が弱いと、風邪を引きつつ無理をして仕事を続けるためこじらせることが多い。概ね風邪症状が良くなっても更に1週間、まずくすると1ヵ月は体調不良が続くのである。そのようなことで、風邪が治りきらず海外旅行に出かけざるを得なかったことが過去に3回もある。特にマウイとメルボルンは酷かった。

 

しかし新型コロナの場合、ルール的に大手を振って休めるため、今回ほどほとんど風邪の症状が残らない状態で復帰できたのは初めてだった。実際復帰2日目にリエゾンに行き、新患を6人診たが支障がなかった。変な話だが、今回ほど軽い風邪は初めてだったのである。これもワクチンの賜物である。同時に、風邪はいかに安静が重要か良くわかることだと思う。

 

患者さんたちは、ほぼ全員5回ワクチンを接種していたこともあり、事前の予測以上にカロナールを処方しなかった。カロナールが全く必要なかった人もいて院内のカロナールの在庫はあまり減らなかったのである。大規模クラスターなのに。

 

ところで、映画プライベートライアンの最初の戦闘場面で、ドイツ軍のマシンガンの玉が飛び交う中、全く弾丸が当たらない指揮官が出て来る。彼はチャーチル型の体型で、むしろ標的にはなりやすかったがゆっくり歩いているのに全然当たらないのである。

 

僕はいつかは院内でクラスターが起こると思っていて、感染爆発が起こったら、院長はあの指揮官のようにならないといけないなどと考えていた。

 

ところがである。感染部屋(室内の4人が感染している部屋)を順番に廻って診察したら、翌日には感染していたのであった。なんという弱さであろうか?

 

気合では感染は防げない(重要)。

 

チャーチル型で思い出したが、ウクライナのゼレンスキー大統領は、まさにチャーチル型の指導者だよね。彼は国民の士気を高め、戦争を遂行するにはふさわしいが、大破綻のリスクも秘めた指導者だと思う。実際、第2次世界大戦でもアメリカが参戦せず、イギリスが単独で戦っていたなら、たぶんナチスドイツに負けていた。

 

いったん新型コロナに感染してしまえば、半年間は極めて再罹患しにくいので、気持ち的に生活上のストレスが非常に少なくなる。これは実際に罹患して初めてわかったことだった。

 

例えば、イベントで人が密集しているところに行きやすいし、さほど感染対策をしていない食事処も行きやすい。(人気のラーメン屋など)

 

変な話だが、新型コロナに罹患して長年鬱積していた不安感や懸念が払拭され、気持ち的に区切りがついた感じなのである。

 

 

 

 

 

 

レキソタンで疼痛が消失し幻聴が軽減する話

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今回は特殊な内容だが、過去にも同じような記事がいくつかある。特にロヒプノール(フルニトラゼパムに関する記事)。

 

 

上の記事の重要な部分を抜粋する。

 

ごく稀に、ロヒプノールを大量に飲んでいる若い患者に遭遇する。どのくらい大量かと言うと、1日8mgくらいである。しかもそれを朝昼晩寝る前に4回2mg錠を飲んでいるのである。その患者さんによると、

ロヒプノールを昼間から飲まないと動けない。働けないんだそうである。

これはどのような治療効果を及ぼしているかと言うと、

ロヒプノールがカタトニアを劇的に改善している。

ということに尽きる。実は過去に8mgのロヒプノールの青年に2名遭遇している。しかも最初の人と2名目の人には10年以上離れているので、それぞれ面識はない。個々に自分の治療法を発見したようである。ただし、このロヒプノールの代わりにデパスという人も見たことがある。薬物の作用点については同じだと思われる。

彼らが、どのような方法でロヒプノールを調達したのか不思議だったが、彼らは、その薬理作用が合理的に説明できるのはわかっていなかった。

 

以上である。

 

統合失調症+発達障害で、ずっと疼痛に悩まされた少年がいた。その疼痛はプレガバリンは多少効くが効果は僅かで、その以外の疼痛に効きそうな薬は全然と言って良いほど無効だった。身体科に行くと、簡単に線維筋痛症の診断がついたが、投薬で改善することはなかった。統合失調症なので抗うつ剤は使い辛いがそうも言っておれないので定番のサインバルタなども処方したがぱっとしない。

 

アナフラニールなどの点滴も併用したが、このような治療では疼痛など消えはしないのである。

 

僕がこのような患者さんを診ている時、いくら本人が痛がっていても実体はないと考えていて、「単に脳が引っかかっているだけ」くらいに思っている。

 

このようなことを考えると、患者さんの疼痛や苦悩に深く共感し寄り添いすぎるタイプの精神科医は疲れるだけで、あまり双方に良いとは言い難いと感じる。やはり生物学的に診て結果を出す方が精神科医としては優れている。中程度の共感で十分である。

 

あれこれ試行錯誤を続けているうちに、レキソタンの少量が良いことが分かったのである。なんとレキソタンの投与を契機に重い疼痛が全て消退したのであった。また、幻聴も消失はしないが一時より軽減したのである。

 

このメカニズムはよくわからないかもしれないが、ベンゾジアゼピンがカタトニアに非常に効果が高いことと深く関係しているように見える。

 

この人はカタトニアではないではないか?と思うかもしれない。しかしこの少年の病態はカタトニアの近縁にあり、裏返しまではないが、平行した次元に存在していると思われる。それが疼痛の主な原因ではないかと考えられるのである。

 

従ってECTでもたぶん同じ経過になっていたと思わわれる。以下の記事も参考にしてほしい。

 

参考

 

 

 

生活保護の辞退届の話

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患者さんの精神疾患が重く就労ができない場合、比較的生活保護は受給しやすい。しかしその患者さんの資産の状況によるので、精神疾患単一の要件で決まるものではない。

 

バブル当時、夫婦で精神疾患で働けないが、5000万の価値がある自宅がある夫婦でさえ生活保護を受給できていた。その理由は、その田舎で広大な自宅をすぐに売却できるものではないからである。他の理由もあったかもしれないが、おそらくすぐに使えるような現金に近い資産がなかったからと思われる。ここで現金に近い資産とは生命保険や車などである。

 

例えば農業をしている人が統合失調症になり長く療養するようなケースでは、役場はすぐに農地を売れとは言わない。その理由は農地を売ってしまったら、農業を生業とする本人が復帰できないからである。このようなこともあり、当時、生活保護の受給要件は全く資産がないことが必須ではないようであった。

 

今回の話は、ずっと自営業で生活できていて普通に働いていたのに、精神疾患を患い仕事ができなくなった患者さんの話である。

 

その人は重い身体表現性障害(疼痛性障害)を患い仕事ができなくなった。初診した頃、ショップはまだ残っていたが生活のために売却し、やがて生活保護を受給するようになった。

 

疼痛性障害は外傷や手術も契機になりうる。手術は正常にミスなく終了したとしても疼痛性障害のトリガーを引くことはあると思われる。その場合、手術医に責任はなく、その人がその疾患に親和性があったと考える他はない。

 

もしほぼ必要がない手術を、主治医が診療報酬目当てで勧めたとしたら、道義的な責任はあると思われる。しかし手術を受けると決断し書類にサインしたのは本人なので、これを裁判で戦っても勝つことは難しい。その大きな理由の1つは、手術と疼痛性障害は必然の結果ではないからである。(ある種の特異体質)

 

その疼痛性障害に至った人は上に書いたように手術医にミスがないようなものではなかった。手術中に体内に器具を残してしまうミスが稀にあるが、それが疼痛性障害の原因になることはあり得る話である。

 

厳密に言えば、体内にハサミを残して痛いのなら、もはや疼痛性障害とは言わない。ハサミを体内から取り出しても著しい状態にそぐわない疼痛が遷延したとしたら、疼痛性障害と言っても良いと思われる。(この人はそのような大きな物が体内に残されたわけではなかった)

 

このブログでは疼痛性障害は実体がないので、自然治癒もあるし、将来完治する確率もそこそこ高いといった記事が出て来る。あくまで脳の問題が大きいのである。

 

この患者さんはそれに対して局所に多少は問題が残っているとは言えた。とはいえ、その組織損傷の規模と疼痛には関係的に全くそぐわないので、これも疼痛性障害と思われたのである。

 

このような患者さんが長期間生活保護になると、役場の福祉課(担当者)がうるさい。その理由は、なるだけ障害年金にしてもらい受給する人や金額を減らしたいからである。(同じように公的機関がお金を出すわけだが窓口が違う。)

 

しかし精神科医としては、本質的に実体がないものを障害年金にさせることなど到底できない。そもそも疼痛性障害は、統合失調症でも双極性障害でもなく、昔風に言えば重い神経症である。(ICD10ではF4)

 

福祉の担当者には、患者さんは、いわゆる障害年金に相当する症状ではない上、症状が固定していないと言う理由でいつも突っぱねていた。

 

そして10年くらい年月が流れた。その患者さんは疼痛性障害はほぼ問題がなくなくなり、遂に復活したのである。彼は役場に生活保護の辞退届を出し、晴れて生活保護は終了したのであった。

 

現在の月収は30万円くらいらしい(自営業)。さすが、元経営者だけに働くときの活力が半端ない。

 

このような患者さんが生涯、障害年金を受給し続けることと、税金だけでなく社会保険料や国民年金を納められることは、日本の財政にとっても大差である。

 

障害年金に比べ生活保護の良い点があるとすれば、潜在的にこの患者さんのように将来生活保護を辞退して普通に働くビジョンがあることだと思う。障害年金は真に重い人たちは受給してしかるべきだが、そうでない人は既得権のようになっているのが宜しくない。

 

その患者さんが生活保護を返上して働くようになった時、周囲のコミュニティに衝撃が走った。ある生活保護の女性患者さんは、「私があの人のように働けないことがとても恥ずかしい」と語ったのである。

 

しかし、精神疾患が全く違うので、彼女が働けないことで恥ずかしがるのはかなり違う話である。

 

その人が将来、社会復帰して元気に働けるかどうかは、長く診ているとなんとなく見通しがつくものである。

 

 

冬の終わりの地域猫

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散歩中に出会った雌ネコ。わりと美形。このネコを僕は茅森早香と呼んでいる。茅森さんはセガサミーフェニックス所属のmリーガー(麻雀)で、天才すぎるオンナ雀士などのキャッチフレーズがある。

 

以下はもう7年前くらいに字一色を上がった時の動画。プロクィーンのベスト8の2人勝ち上がり戦であった。最終戦のラス前、厳しい条件下、字一色をツモ上がりしている。

 

ただし、この試合を持って天才過ぎると言われているわけではない。この頃から麻雀の映像対局をよく観ていて、偶然、この試合も大一番だったので生放送で観ていた。ひとつポンをしてほとんど字牌が切られない中、ほとんど自ツモで字一色を完成していた。

 

 

茅森さんがしばしばネコに擬えられているのは、風貌や性格なんだろうが、このネコの所作もどうも茅森っぽいのよね。いつも思うが。

 

 

個々のネコによりかなり性格が違う。ネコはツンデレとか言われるが、そう言うネコも確かにいるがそれほどではないネコも多い。

 

ネコは狩猟でいつもエサを獲れるので、エサに気がない雰囲気を出したり、急に周囲の小鳥などに気を取られて離れたりするんだと思う。つまり遺伝子的にそういう所作になりやすいんだと思う。

 

 

撮影中とにかく動き回り、撮るのが難しかったが、さすがiPhone13、ブレずに綺麗に撮影できている。手ブレ補正が凄いんだと思う。

 

 

人を恐れる風がなく、気が散りまくりだった。

キンマwebでも茅森さんはネコのような感じでいつも描かれている。シッポもあるみたいな。

 

 

 

レキサルティ、うつ病・うつ状態の効能追加を国内で申請

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大塚製薬は令和5年1月30日、レキサルティのうつ病、うつ状態の効能追加を申請している。過去ログでも、レキサルティは日本では統合失調症しか適応がないが、海外ではうつ病、うつ状態の患者さんの処方が多いと言う記載がある。

 

上のリンクを見ると、うつ病・うつ状態への用量は統合失調症に対する用量と差がないことは特筆される。(以下抜粋)

 

本剤の国内フェーズ3試験では、既存の抗うつ薬(SSRIまたはSNRI)治療で反応不十分であった20歳から64歳の成人の大うつ病性障害患者さん740名を対象に、抗うつ薬への上乗せ治療としてブレクスピプラゾール(1mgまたは2mgを1日1回)を6週間投与し、有効性と安全性を評価しました。ブレクスピプラゾールの1mgおよび2mgはプラセボと比較し、いずれも主要評価項目である投与6週後のMADRS*2合計スコアの平均変化量で統計的に有意な改善効果を示しました。本試験においてブレクスピプラゾールの忍容性は全般的に良好であり、新たな安全性の懸念は認められませんでした。

 

僕は過去にうつ病、うつ状態の患者さんの補助療法としてレキサルティを併用で処方することがあったが、たいてい0.5㎎以内の用量に制限していた。意外に処方量を上げても良さそうなのである。

 

近年の非定型抗精神病薬の新薬は統合失調症だけでなく、双極性障害やうつ病にも処方可能な全方向性のスペクトラムを持つものが増えている。

 

 

新型コロナクラスター以後、面会や施設訪問がしやすくなった話

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病棟の80%の患者さんが新型コロナウィルスに感染するほどの大きなクラスターが起こり、その病棟が職員も含め集団免疫状態になると、それまでできなかったことが色々できるようになる。しかもこの環境が3ヶ月から半年続くのである。

 

現在も患者さんの家族は病棟に入ることはできない。これはうちの病院に限らず、大抵の精神科病院も同様だと思う。これまでiPadなどのタブレット面会をするくらいが限界だった。精神科は一旦新型コロナウィルスが入ってしまうと多数の患者さんが感染してしまうからである。

 

僕は総合病院にリエゾンに行くが、長い期間、病棟に入っている家族を見ることがなかった。亡くなる直前の特別な時期に限り時間制限で面会ができるといった感じだったようである。また、かつては多くの看護学生や薬学部学生、あるいは医学部の学生も病棟内で見たが、そういう場面をほとんど見なくなった。今でさえ、学生は看護学生に限り見るくらいである。

 

しかし最近はすこし様相が変わっている。時間制限で家族は面会もできるようになっているらしい。しかし例外的ではあるらしく、見たとしても少ない人数である。

 

この移行がうちの病院ではできないでいた。それは精神疾患の特殊性ももちろんある。今でも病棟に家族を入れたことは一度もないが、面会の状況はかなり違う。一度新型コロナに感染した患者さんはしばらくは再罹患しないので、外来まで患者さんに来てもらい、直接、家族に見てもらえるようになった。

 

精神科病院はオープンであるべきといった過去ログがあるが、僕は治療状況を時系列的に家族に見てもらう方が良いと思っている。そうでないと、家族は精神疾患が良くなっていると言う実感が得られにくい。これは精神科では結構重要なことである。

 

新型コロナパンデミックの環境では、家族と患者さんが隔絶されている状況で医師は治療を進めなければならない。これは精神科病院に限らず、多くの身体科病院や老人ホームでも同様だと思う。

 

タブレット面会だと臨場感が不足するし、細やかな精神症状の改善が伝わりにくい。それは患者さんの姿勢だったり、歩行状態だったりする。表情だけではないのである。

 

最近ある若い患者さんを治療していて歩行状態について看護師と話したことがあった。彼は統合失調症だが、あの歩き方ではまだ退院できそうにないと言った会話である。彼が健康な時、どのような歩き方だったのか知る由がないが、その日の歩き方ではなかったのは間違いない。

 

歩行状態はパーキンソン病などの神経病で語られるが、統合失調症でも薬物要因を排除しても健康的ではないと感じることは確かにある。また、その些細な精神症状も、彼の脳の健康度を反映しているのである。

 

結局、その1ヶ月後くらいに退院させた。退院直前に同じ看護師さんに、あの時より歩行が自然になったと話したのである。精神科では、姿態に張りがないと言う精神症状を語るフレーズがあるが、広く言えばそう言うことなのだろう。

 

またADLが低い高齢者を施設に退院させることも以前よりずっとしやすくなった。やはり精神症状がある高齢者を施設に入所させることは、実際に施設職員が本人を見てみないと応じてくれない傾向がある。クラスター収束以降、本人を外来の広いスペースで見てもらうことで話が進めやすくなった。施設職場を病棟内に入れることはないが、実際に本人をリアルに見てもらうことが重要なのである。

 

また、高齢者施設やグループホームも施設側が許可してくれさえすれば本人が実際に訪問し見学できるようになった。このような環境の改善により、少なくとも運営がスムーズになってきたのは確かである。

 

精神疾患の治療はやはり家族や施設との円滑な交流が重要だと思う。それがないと、話が進まず不必要に入院期間が伸びたり、いろいろなところに支障が出てくる、特に高齢者やグループホーム入所レベルの患者さんはそうである。

 

高齢者で特別な精神症状のために施設入所が難しいのは精神症状に起因する放火歴である。実際のところ、施設内禁煙の施設はライターやマッチなどは簡単に置いていないが、施設側はそれでもリスクを考慮するものだ。

 

そう言う高齢者でも施設職員に本人を実際に見てもらうことができれば、入所可能かどうかの判断に大きな影響を与える。本人を見るかどうかは大差なのである。

 

 


Amebaプレミアムに入ったこと

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今月になり、初めてAmebaプレミアムに入った。今後はアメブロの広告が全てなくなる。

 

精神科関係のブログの広告は一部、ブログの趣旨や方針に沿わないものもあると思うので、以前からAmebaプレミアムに入ることも考慮していた。その理由は、僕がアフィリエイト目的で広告を付けていると錯覚する読者さんもいると思うからである。

 

過去ログにもあるが、このブログは収益を目的としていない。

 

 

上の記事から抜粋。

 

このブログは個人のアフィリエイトはなく、広告があるとすればアメブロのものである。このブログは元々、収益を目的としていない。むしろ一切、利益が出ないように努めているほどである。無料ブログだったことで残念なことが1つ。それは過去のアメブロメールの記録が残っていないことである。

 

アメブロをやった人はわかるが、アメブロメールは受信、送信とも2か月で消える。有料だとずっと保存できるのである。たまに読者さんのメールをアップしているが、これは良いと思うやりとりを保存していたものである。素晴らしいアメブロメールは公開したもの以外にもあるが、公開できる内容ではないのでできなかった。また、そもそもほとんどメールは保存していない。

 

以上。

 

これまでプレミアムに入らなかった理由は課金したくなかったわけではなく、アメブロのセキュリティに不安を感じていたからである。

 

実際、ある読者さんから課金して広告を外す方が良いという助言があった際に、アメブロのセキュリティが十分ではないため課金ができないと返信をしている。その読者さんは、そこまでは全然考えが及んでなかったと理解して頂いたこともあった。

 

しかし、現在はアメブロにはログインにIDとパスワードだけでなく、2段階認証も可能になりその辺りの障壁がなくなったのである。

 

アメブロプレミアムは1ヶ月1027円税込であまり高くはないと思う。

 

僕が利用しているサブスク。

ケーブルテレビのセット

スターチャンネル

WOWOW

YouTubeプレミアム

アメバTV

オープンレックの日本プロ麻雀連盟チャンネル

四季報オンライン

Amazonプライム

アメブロプレミアム

 

くらいだと思う。うっかり忘れているのもあるかもだが。上の中で最も有用と思うのは、YouTubeプレミアムである。YouTubeの広告は極めて質が悪いと思うからである。最近はYouTubeの広告を見ずに済んでいる。

 

アメブロプレミアムにはメッセージ保護機能があるのも大きなメリットである。このブログを始めてずいぶん年数が経つが、過去の貴重な読者さんのメッセージがほぼ消えてしまったのは残念である。

 

参考

 

 

 

 

 

現在の

日医工、2023年年3月29日上場廃止

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後発医薬品大手、日医工は不適正製造発覚受け2021年業務停止処分。その後、第三者割当増資などを株主総会で決定し、2023年年3月29日上場廃止となる。日医工の上場は1980年だったので、40年以上経って上場廃止に至った。以下は日医工の株価の月足である。

 

 

日医工は今後、200品目以上の医薬品を発売中止すると言う。少し心配して調べたところ、うちの病院の患者さんにはほとんど影響がなかった。(営業自体は続けられる)。

 

 

上の写真は日医工によるバルプロ酸Naシロップ4mlの写真である。過去ログでは病棟ではミスが起こりかねないので使わないと記載しているが、今は職員が慣れてきているので病棟でも使っている。この剤型はちょうど4mlが200mg相当なのが良くできていると思う。良いアイデアである。こういう製剤がなくなってしまうのは非常に困る。

 

ジェネリックメーカーは禄に利益が出ない薬剤ものもあると思うので、今回のように不祥事が重なると、この機会に古い向精神薬はリストラされておかしくない。

 

そういえば、日医工とは関係がないが、アモキサンは回収された後、おそらく再発売はされないと言う話である。アモキサンのように薬価が安く利益が出ないような薬は次第になくなっていくのであろう。

 

今回のジェネリック医薬品メーカーの不祥事後の混乱は、生産ラインが容易に再構築できないなど、生産体制にかなり脆弱性があることを露呈している。

 

向精神薬では最近になってようやくリスペリドンの供給が安定してきたところである。それまでは、一部ないし全てリスペリドンの剤型を先発品のリスパダールにせざるを得ない時期もあった。リスペリドンに限らず、供給不安定だった向精神薬がようやく安定供給されるようになったものがいくつかある。

 

また供給不足とは関係がないが、レクサプロはジェネリックが既に発売されている。

 

 

いつだったかサインバルタのジェネリックが発売された頃、安定的に購入できないため購入を控えていた。と言うのは安定的に購入できない場合、処方箋の変更が大変だからである。現在はデュロキセチンは院外及び院内薬局にも入っているが、先発品の処方箋数が遥かに多い。

 

年齢のせいか、新薬が発売されてジェネリックが発売されるまでの年数がすごく短いように感じる。

 

精神科では今供給が細って困っているのは抗パーキンソン薬とテグレトールである。

 

ここ数ヶ月は去痰剤と解熱剤が非常に不足していたが、新規新型コロナ患者さんの減少により次第に供給が追いついてくると思われる。

音を立ててカリカリを食べるハチワレさん

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ネコおばさんにカリカリを貰い食べているところを撮影。カリカリはかなり硬いのか、凄い音がしている。今までに同じようなネコの食事風景を撮影しているが、似ているものの微妙にハチワレの形が違う。

 

 

動画が見れない人もいるかもなので、写真もアップする。

 

 

ペロリと舌を出す瞬間もよく撮れている。

 

 

ノラとはいえ、ネコはひとつ残らず完食はしないことが多い。

 

 

このペロリは実に綺麗に撮れている。

 

今年の花粉症が例年より酷い話

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最近、ここ数週間、スギ花粉が大量に飛び交っているためか花粉症が半端ない。くしゃみ、鼻水、目の痒みが酷い。特に今年は最悪のレベルである。

 

僕は子供の頃からアレルギー性鼻炎の経験がなかったが、他のほとんどの児童も同様だった。僕が始めて花粉症なるものを経験したのは、ピロリ菌を除菌してからである。ピロリ菌は除菌する価値がある医療なので、もしこれが間接的に契機となっていたとしてもやむを得ない。

 

 

僕の皮膚科の友人に、「アレルギーに寄生虫が関与していると言う話がある」と問うと、あまり関係がないのでは?と言うので、信憑性は怪しいのかもしれない。

 

花粉症は、僕が子供の頃に滅多にいなかったのは、当時の衛生状態が関係している。今は衛生状態が良くなり過ぎているのである。僕は今に比べ当時の衛生状態が著しく悪かったと思わないが、子供が遊ぶ環境がかなり違う。

 

近所の公園に砂場があるが、子供が数人集まって遊んでいる様子を見たことがない。子供の遊びがアナログからデジタルに変わっているのである。

 

ところが、当時花粉症などなかったのに、今は花粉症になってしまった友人はかなりいる。加齢ともに次第に発病しやすくなるらしい。しかし更に加齢が進むと花粉症が軽くなると言う。

 

今年が実際にスギ花粉が例年に比べ多くなっているのかよく知らないが、実際に多少は多いのかもしれないが、この花粉症の酷さはそれだけでは説明できない気が非常にする。

 

それはここ約3年間のマスク生活も関係しているのではないかと。長期に渡り、ヒトの免疫系を刺激する環境から隔絶され過ぎていたことも関与していると思う。あるいは新型コロナワクチンの接種もなにがしか関係しているのかもしれない。

 

僕は例年、花粉による鼻アレルギーは出ず、眼のアレルギーのみに留まっていた。過去ログにアレジオンLX点眼液は良いと言う話をアップしている。

 

 

鼻アレルギーが出たら大変なことで、その年は花粉が多いと体感していた。それでも鼻水はほぼなく、鼻の中が乾燥する感覚くらいだったのである。他、くしゃみくらい。

 

ところが、今年は何なんだ!と言うくらいの洪水のような鼻水である。例年とは全然違うのである。

 

アレルギーで悩まされている外来看護師さんに聞くと、最悪の時は風邪薬を飲むと言う。そのようなことを聴き、仕方なく市販のコンタックを今さっき飲んだ。

 

最近、ある重大なことに気付いた。

 

それは入院中の統合失調症の患者さんの花粉症の有病率が非常に低いように見えることである。自分の患者さんにはほぼいないと言って良い。

 

これは年齢も考慮されるべきで、今の単科精神科病院の統合失調症の入院患者さんは高齢化していることも無関係ではないと思う。(高齢になると花粉症が軽くなると言う定石)。

 

そもそも、彼らはフェキソフェナジンやレボセチリジンを飲んでいない。

 

補正されるべき条件として、彼らはあまりにも長期に入院しているため、健康な人より濃厚にスギ花粉などのアレルゲンに晒されたのべ時間が長くないことも関係があるように思う。

 

あるいは、統合失調症ならではのリンパ球系の振舞いの相違も関与しているのかもしれない。

 

彼らは年齢が進んで花粉症になるべき時に発病せず、その後、花粉に晒される時間も短かったこともあるのか、花粉症そのものの発病歴がない。だから高齢になると軽症化するという話とも異なっている。

 

一方、うつ病や神経症の入院患者さんには普通に花粉症に罹患している。同じ部屋にいるのに、1名は非常に最悪レベルで花粉症が酷いのに、統合失調症の患者さんは平気でいるのは奇妙なものだ。

 

鼻アレルギーは、外来患者さん、特に発達障害系の患者さんは非常に有病率が高いように見える。

 

発達障害で始まり、次第に統合失調症のような病態に至った人たち(過去ログで器質性荒廃と言う病態)は、荒廃まで至らないでも結構、鼻アレルギーがみられるので、本質的に身体のバックボーンは異なっているようには見える。

 

 

 

統合失調症の患者さんの免疫系を刺激する物質への反応の相違は、統合失調症そのもののためにそうなっているのか、生来にそうなのかは不明だが、器質性荒廃の人に鼻アレルギーがわりあい見られることは、統合失調症と言う疾患のためにそうなったとは考えにくいことになる。

 

もし統合失調症そのものがそうさせているのであれば、器質性荒廃の人は鼻アレルギーが治ってしまうか、非常に軽くなっておかしくないからである。

 

参考

 

 

うつ状態でアナフラニールの点滴にやってくる患者さん

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ある年配の女性患者さんはサインバルタとトリンテリックスを併用し、見かけ上、健康の人と変わらないエネルギーで仕事をしている。

 

しかしカルテを調べると、数年単位の間隔で仕事に行けないほどのうつ状態を呈し、アナフラニール点滴を希望し来院するようになる。

 

一応、サインバルタとトリンテリックスはそれぞれ最高量を処方しており、これらの増量や抗うつ剤を追加する選択肢はない。この2剤は彼女にフィットしており、長い期間治療してきた結果の最良のペアなのである。

 

不思議な点は彼女の改善の仕方である。彼女はうつになると、ふらふらとした感じで再診しアナフラニールの点滴を受けるが、用量は半アンプルほどである。12.5㎎程度。

 

しかし点滴した直後、少し実感が良くなり体が動かせるようになると言う。なんと点滴した日の午後には職場に行けるらしいのである。基本的にかなりエネルギーがある患者さんだと思う。

 

アナフラニールの点滴は実施した日にすぐに良くなると言う人が比較的多いが、改善の程度はさまざまである。不安感がずっと減ったとか、特に不安感に良いと言う患者さんもいる。流石にこれほど急激にスイッチが入ったように動ける人は稀である。

 

そうして2~3日に一度くらいのペースで点滴に来院する。そのうち、来院の間隔が広がりあまり来なくなる。その間、内服の処方箋は1ヵ月処方で全く変えていない。

 

精神科の外来での抗うつ剤投与数は基本上限2剤までだが、点滴の抗うつ剤は1剤として加算されない。(同様に抗精神病薬の持続性抗精神病薬も加算されない)。

 

従って、外来のアナフラニールの点滴は診療報酬的には問題がない。

 

毎回、1ヵ月くらいで改善しほとんど問題がなくなる。彼女の悪化は令和になって2回目なので、周期性と言うには長すぎる間隔である。

 

この回復のあり方も謎が多い。彼女はサインバルタとトリンテリックス以外に気分安定化薬を使っていない。しかしレキサルティは0.5㎎だけ併用している。

 

彼女の処方は最新というか、現代の抗うつ剤治療の最前線といえる処方だと思う。

 

しかし、この処方のブレが起こった時に、大昔からあるアナフラニールで補正できる点が非常に興味深いと思う。

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