数年前から初診の時にサマリーを書くことにした。ノートパソコンでワードにサマリーを記載する。従って、ここ数年間は1年間で初診を何人診ているかがだいたいわかる。
なぜだいたいなのかと言うと、サマリーを書かない新患がいるから。
サマリーを書かない新患でも、リエゾン患者は必ず身体科の主治医へ返書をするので、その人数はわかる。この返書はあるとないとでは大違いである。(レセプトの時に役立つ)
問題は警察の留置者と夜間輪番の新患。
警察官に同伴される留置中の新患は、平均的な新患より新型コロナウィルス感染のリスクが高いと思われる。従って安全を期して病院外のプレハブの簡易的な診察室で診ることにしている。ここはエアコンやプリンタやベッドはあるが、パソコンはないので当初は自分のノートパソコンを持参して記載していた。ところが、次第に非常にストレスになることに気付いた。
フェイスガードをしているとよく自分の呼吸のために前が曇り、パソコンも十分に見えない。従って警察官同伴の新患は基本、紙カルテにそのまま書くようになった。従って、サマリー数がそのまま新患数にならない。
今、ここ1年間の新患数をサマリーで検索すると58名だった(2021年6月から2022年5月)。これにリエゾンと警察関係を含めるともう少し増える。レセコンで調べるとだいたい80~90人だった。
これが、1年間に僕が診る新患数である。これが多いかどうかは不明だが、おそらく単科精神病院の院長としてはかなり多いのではないかと思う。
最近、新患の患者さんが、「○○クリニックに初診したら、主治医はテレビばかり見ていて、全然こちらを見てくれなかった」という不思議な苦情を聴いた。
これは状況的に、主治医は電子カルテばかり見ていて、ろくに患者を見ていなかったと解釈できる。
これをもちろん本人に説明したが、実は単科精神科病院は電子カルテの普及がかなり遅れている。その理由はいくつかあるが、うちの病院では以前に勤めていた病院で電子カルテ化されたために退職し、うちの病院に避難してきた年配のナースが幾人もおり、容易に電子カルテにできない。まとめてナースが退職しまうのは大変な事態である。
また近年、電子カルテがハッキングされてカルテ情報にアクセスできなくなった病院も出てきているので、紙カルテが安全性が高いと言う要素もみられるようになった。
精神科では、主治医が電子カルテに記載しているため患者さんに疎外感があるとしたら、紙カルテもそこまで悪くないと思っている。
(おわり)