日本で発売されている非定型精神病薬のうち、ルーランも既にジェネリックが発売される時期になっている。
ルーランは純国産であることもあり、同じSDAのリスパダールを基準に薬価が決められた。リスパダールは、発売後、突然薬価が上げられた経緯があり、ルーランは安い薬価のまま放置される結果になった。ルーランは全ての非定型抗精神病薬の中で極端に薬価が安い。(参考)
ルーランは1社だけからジェネリックが発売され、その商品名は「ペロスピロン塩酸塩」。これはルーランの本名になっている。販売メーカーは共和薬品である。僕はこのジェネリックを使ったことがないので、どのような細かい相違があるのかまではわからない。
ペロスピロン塩酸塩はルーランの60%ほどの薬価になっている。このような比較的新しいジェネリックで、たった1社しか販売されていないのはよほど人気がないのは間違いない。
ルーランは、これが合う人には安価で治療できるのはメリットであるが、自立支援法を使う場合、ジェネリックに変更してもさほど患者さんのコストを改善しない。元々が安いのもある。
しかし、調剤薬局では病院に比べよりジェネリックが選択されていると言う。その理由は、ルーランは1日1回処方ではないことが多いからである。個人的に、少ない量では1日1回処方で十分と思うが、素直に半減期などを参考にすると添付文書のように1日数回に分けた方が良いように見える。この数回に分けることが、調剤薬局にはメリットになるのである。
ルーランはもう少しその特性が注目されるべき非定型抗精神病薬である。その理由だが、不安、強迫など、特殊な効果があるからである。
実際、アメブロメールなどで相談を受けた際に、「例えばルーランなども良いかもしれないです」などと助言すると、「ルーランだけは良かった」という話を時々聞くこともある。
個人的に、ルーランは少ない量でこそ個性が顕れる薬で、大量に使うとその非力さが目立つ結果になりやすい。つくづく、ルーランは会社にとって儲からない薬なんだと思う。この悲哀について、過去に「ファンタジスタは使われなくなる」という記事をアップしている。
ルーランはあまり鎮静しないこともあり、特性がよく理解されないままジェネリックの時代になったといえる。その理由だが、大日本住友製薬はルーランよりロナセンの販売に力を入れているからである。これは薬価がかなり違うことや、ロナセンはジェネリックが出ていないので製薬メーカーとしては当然の姿勢である。
ルーランとロナセンとエビリファイはいずれも純国産だが、どこかしら似ている部分がある。
このうち、エビリファイは海外でも非常に評判が良い非定型抗精神病薬であり、エビデンスも蓄積されている。一方、ルーランとロナセンは海外ではたぶん販売されていないので、その点が弱い。
いずれにせよ、日本の創薬技術は素晴らしいと思う。
しかもこれら3剤は、たぶん偶然だろうが、世界中の人々の精神疾患の病像変化を先取りした形になっている。
参考
ルーラン
向精神薬には処方難易度の相違がある
待合室の若い女性患者
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ルーランのジェネリック
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