今はマニフェストと言う言葉は、「選挙公約」という意味でよく知られるようになったが、以前はそうではなかった。
選挙公約としてのマニフェストも、日本では前々回の衆議院選挙で民主党が大勝した際に国民に周知されたわけで、それ以前の選挙ではマニフェストは選挙用語としてあったのだろうが、有名ではなかったような気がする。
自分の場合、医師なので違った意味での理解の方が大きく、今でも選挙公約の意味は、別の意味という感覚である。本当はこちらの方がメインだろうが。
実は、マニフェストはロックミュージシャンの楽曲のタイトルにも時々みられる。(例えばロキシーミュージックなど)。
マニフェストは選挙公約以外に、「環境廃棄物管理」などの意味で稀に使われる専門用語なのである。実際、病院への保健所の監査項目にマニフェストという言葉が挙がっている。
今回の記事のテーマは「アナフラニール」になっている。最近、アナフラニールの点滴が、ああも効くのに、クリニックなどでほとんど使用されないのはどのような理由があるか考えてみた。
簡単に挙げてみると、
①アナフラニールの点滴は正看護師がクリニック内にいないと、実質的に難しい。
②心電図が容易にできる機器及びスタッフを要す。
③感染性廃棄物が生じるため、業者との契約が必要(マニフェスト)。
④アナフラニールはベッドに寝かせて実施されるため、ある程度の診療所のスペースないと難しい。(数人同時に実施することも考慮すると、かなりのスペースが必要。また時間もかかる)。
⑤上と関連するが、ごく近くで点滴している状況では、診察室での話が点滴を実施している患者に筒抜けだと困る。精神科だけに。
⑥精神科医、あるいは心療内科医にアナフラニールの有効性があまり理解されていないこと。
これでは、一般のクリニックでアナフラニールの点滴が実施されないのは当たり前ですね。(仕方がないと言うべきか。)
リスパダールコンスタの場合、筋注で時間がかからず、しかもキットになっているため、まだ実施しやすい。マニフェストの問題はもちろんあるが、この方が敷居が低い。
精神科ないし心療内科クリニックでは、看護師がいない場合もあるので、なお更である。
実は、アナフラニールの点滴は医師でもできるが、よほど暇なクリニックでないとできない。
ある日、偶然だが、同時に5名の患者さんにアナフラニールの点滴を実施する事態が生じた。この時は場所に困り、1名は病棟に連れて行き、実施したのである。
つまり、アナフラニールの点滴には施設的、金銭的、管理的な制約があるので、クリニックには馴染まない治療法なのである。
参考
アナフラニール点滴マニュアル
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マニフェスト
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